【ソワレ19時】實川 風ピアノリサイタル

イベント情報
演奏家 |
ピアノ 實川 風 |
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開催時刻 | 2022年 09月 10日 (土) 開場 18:30 開始 19:00 |
お問合せ先 | 美竹清花さろん/株式会社ILA |
03-6452-6711 | |
070-2168-8484 | |
info@mitakesayaka.com |
当日プログラム
※プログラム等は、やむを得ない事情により、 変更になる場合がございます。
チケット情報
当日、現地払いでお願いいたします。
5,000円(一般・全席自由席)
4,500円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)
※会員のご紹介はこちら
→http://mitakesayaka.com/regular-member
マチネ(15:00開演)はこちら
バッハの先に──偉大なドイツ音楽家たちのロマンティシズム
實川風のみ、美竹サロンでのみ実現したプログラムまずは、以下のプログラムをご覧いただきたい。
バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
ブルックナー:秋夜の静かな思索 嬰ヘ短調
ワーグナー:アルバムの一ページ「黒鳥館への到着」変イ長調
ツェムリンスキー:デーメルの詩による4つの幻想 Op.9より 1.夜の声 3.愛
マーラー:交響曲第5番 より アダージェット(O.Singer編)
シェーンベルク:6つの小さなピアノ曲 Op.19
バッハ:パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826實川風とはいったいどんなピアニストなのだろう、
とふと思うことがある。
深い洞察、確実なテクニック、斬新なアイディア、實川風が生み出す音空間にはその多くの要素が動員される。
特に美竹サロンでは、そのすべてが動員されるといってもよい。
「ある風景の中で」というジョンケージやサティなどの作品に秘められた"静寂" をテーマにした企画を過去二度ほど開催した。
耳からの情報だけでなく、照明を限界まで落とし、視覚を含めた五感全体の集中を求め、 空間に現出する静寂を体験することで、 まるで音の中に浮遊しているような感覚になり、 自然に第六感も反応し、 なにか異次元の体験に誘われたような体験をしたことがある。
彼が創り出す空間は、単なる演奏会ではなく、芸術の空間なのだ。
毎回、次はどんな企画となり、どんな芸術空間が現れるのだろうと、 異次元な期待を抱かされてしまう。
今回も、實川風ならではの、美竹サロンならではの、他では体験できないであろうプログラムとなっている。 ワーグナー、マーラー、
ブルックナーなどの19世紀後半の交響曲作曲家は、 ピアニストには少々遠い存在に感じるのではないだろうか。
しかし、ピアノ作品を語るうえでも、ドイツロマン派のあの激情の時代を無視することはできない。
"行き過ぎたロマンティシズム"の中で生み出されたオーケストラやオペラの作品の数々からは、 少々クレイジーとも取れるような、 物議を醸すような音楽も誕生してきた。
そんな作曲家たちが遺したピアノ曲を聴いたことがあるだろうか、おそらく、Googleで検索しても、 たやすく情報を得ることはできないだろう。
そんな時代に生み出されたピアノ作品を中心に紹介することで、“錯綜とした芸術志向” を感じ取ることができるのではないだろうか。
オペラを綜合芸術と捉え、独自のジャンルを生み出したワーグナー(1813〜 1883ドイツ)は、 紆余曲折を経てリストの娘コジマを二人目の妻として迎え入れる。
しかし、彼の人生は恋多く、また借金も多く…そのオペラの内容からも推測できるように、 本心では女性に救済を求めていたのかもしれない。
壮大で大胆、独創的で型破りな作風のブルックナー(1824〜1896オーストリア)はそんなワーグナーを尊敬していた( 熱烈なワグネリアンだったとも…)。
交響曲第7番の第2楽章は「我々の忘れがたい巨匠(ワーグナー)のための葬送音楽」と書き記したほどだ。
病的なまでの完全主義者として知られるマーラー(1860〜1911オーストリア)は、 とりわけワーグナー作品の指揮によって名声を獲得した。
さらに、シェーンベルクを中心としたウィーンのモダニズムの作曲家たちと 交流をもっていたそうで後世への影響も大きかっただろう。
12音技法の創始者などで知られるシェーンベルク(1874〜1951オーストリア)は、 バッハへと遡る偉大なドイツの文化的伝統を相当に意識していたそ うだ。
そして彼は、同じ若手音楽家で友人のツェムリンスキー(1871〜1942オーストリア) が立ち上げたアマチュアオーケストラでチェロを弾いていた。
ツェムリンスキーはシェーンベルクに作曲法を教えた唯一の人物であるそうで、 さらにシェーンベルクはツェムリンスキーの妹マティルデと結婚し た。
そして、それらの一連の大きな時代の流れを生み出し、クラシック音楽の根幹を成す、大バッハ(1685〜 1750ドイツ)の存在。
「すべての音楽の唯一の目的は、神の栄光を称え、魂の再生を図ることにほかならない」と言ったバッハの言葉が、 バッハの先へと続く偉大なドイツ作曲家たちのロマンティシズムの 流れを、まるですでに達観していたように感じられてならない。
これらのクラシック音楽における重要な一連の流れを、まるでその時代を自らが体験してきたかのように、「 實川風のマジックによって“一なるもの”」 として示されることだろう。 (美竹清花さろん)
<プロフィール>
實川 風(JITSUKAWA Kaoru)Piano
2015年、パリのシャンゼリゼ劇場で行われたロン・ティボー・
ルにて、第3位(1位なし)、最優秀リサイタル賞、
リアで行われたカラーリョ国際ピアノコンクールにて第1位・
の若手を代表するピアニストの一人として、
ソリストとしてベートーヴェンを核とした本格的なレパートリーに
作品の新作初演などでも作曲家より信頼を寄せられている。
上海音楽祭、ソウル国際音楽祭、ノアン・ショパンナイト(
ストリア)などがある。
東京藝術大学附属高校・東京藝術大学を首席で卒業し、
田千代子、御木本澄子、多 美智子、江口玲の各氏に師事。グラーツ国立音楽大学ポストグ
ラデュエート課程を修了。マルクス・シルマー氏に学ぶ。