メシアン音楽の神秘 ピアノ:深貝 理紗子
誠に申し訳ございませんが、本公演は完売となりました。 なお、これ以降はキャンセル待ちのお受付のみさせていただきます。

イベント情報
演奏家 |
ピアノ 深貝 理紗子 |
---|---|
開催時刻 | 2022年 02月 12日 (土) 開場 14:30 開始 15:00 |
お問合せ先 | 美竹清花さろん/株式会社ILA |
03-6452-6711 | |
070-2168-8484 | |
info@mitakesayaka.com |
当日プログラム
オリヴィエ・メシアン:《8つの前奏曲》より 第8曲「風の中の反射光」
オリヴィエ・メシアン:《鳥のカタログ》 第5巻より 第8曲「ヒメコウテンシ」
クロード・ドビュッシー:《前奏曲集 第2巻》より 第1曲「霧」
モーリス・ラヴェル:《鏡》より 第5曲「鐘の谷」 嬰ハ短調
オリヴィエ・メシアン:《鳥のカタログ》 第2巻より 第4曲「カオグロヒタキ」
エリオット・カーター:《ピアノのための2つの考察》より 第2曲「懸垂線(カテネール)」
アンリ・デュティユー:《3つのプレリュード》より 第1曲「影と沈黙から」
オリヴィエ・メシアン:《4つのリズムのエチュード》より「
オリヴィエ・メシアン:《幼子イエスに注ぐ20のまなざし》より
第1曲「父なる神のまなざし」
第8曲「高きところのまなざし」
第10曲「喜びの聖霊のまなざし」
※プログラム等は、やむを得ない事情により、 変更になる場合がございます。
チケット情報
当日、現地払いでお願いいたします。
4,000円(一般・全席自由席)
3,500円(会員・指定席あり)
2,000円(学生・全席自由席)
※会員のご紹介はこちら
→http://mitakesayaka.com/regular-member
色彩、自然、祈り──
オリヴィエ・メシアン ―― フランスが誇る20世紀最大の作曲家の一人だ。
その音楽の魅力を言葉で説明するのはきわめて困難、レコードなど、電子媒体を通じて聴いてみても、 その半分の魅力も伝わってこないだろう。
メシアンの作品は、実際に“体験”してこそ、その魅力に触れることができるのだ。
私が初めてメシアンの音楽に触れた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えている。
「はて、これが果たして音楽なのだろうか?」その体験は衝撃的なものであった。
一つひとつの音に色彩を感じ、ときに匂いや温度までも感じる…そして神秘的で美しい静寂…。
ピアノという楽器を通して放たれたその音たちは、ときに鳥の鳴き声であったり、虫の鳴き声であったり、 フランス語で語りかけられるようであったり…メシアンの音楽は、 大自然の中に身を横たえているような感覚で五感で感じるものに近 い。これほど五感を刺激する音楽が存在することに驚きを覚える。
古典からロマン派の曲ばかりに聴き慣れていると、和声に対する概念(ドミナント、トニックなどの流れ) が固定化された聴き方になってくることがある。
そのため、印象派以降の音楽を「つまらない」と感じることもあるのではないだろうか。 印象派以降の音楽はどうも苦手だ… そういった声が聞かれることもある。
ドラマティックで情緒的な音楽から、アートの概念が変化し、情緒を超える試みとして、 印象派以降の音楽が生まれたのだろうか。
「メシアンという作曲家はどんな人物だったのだろう」―― 作曲家、演奏家、教育者、即興演奏家、鳥類学者、カトリック神学者…メシアンの幅広い才能は浅く広くではない、 どんな分野でも傑出しており、 それらはさらに相互に影響しあっているようだ。たとえば、 鳥の歌の調査に基づく《鳥のカタログ》では、 鳥類学者と即興家としての面が影響し合っているのではないだろう か。
共感覚者(通俗的にはいわゆる霊能者)であったメシアンは、とても敏感な感性の持ち主だったに違いない。 しかしそんな彼の自由な発想を支える基盤は、 堅固に理論的であった。
彼が作曲した作品の多くが西洋の伝統とは違った自由なリズム、“卑俗”と呼ばれた和音を用いた書法、旋法と調性の曖昧さ… エクリチュールのすべてが斬新なアイディアだが、 たくさんの仕掛けと緻密なデザインが施されいる。
いつかサロンでメシアンの作品を体験してみたい・・・そんな期待を抱いているファンも少なくないのではないか。
今回、そうした期待が実現することになった、演奏は深貝理紗子氏である。
彼女は2015年渡仏、パリ・エコール・ノルマル音楽院の最高高等演奏課程に授業料全額免除奨学生として 在籍し卒業。パリ・スコラ・ カントルム音楽院ヴィルトゥオーゾ課程、 およびコンサーティスト課程を審査員満場一致の最高評価を得て首 席で修了と、フランスで功績を残し、帰国したピアニストだ。
パワーに満ちたミスタッチの少ない演奏が日本では評価されるようだが、ヨーロッパでは和声や響き、音楽の流れ、構成、 個性的な音楽性などが評価されるということを聞くことがある。 日本人がヨーロッパに留学すると音が変わるという指摘もある。
さて、今回の深貝氏は、私たちにどのような“メシアンの体験”に導いてくれるのだろうか。
深貝氏からのメッセージを紹介しよう。
演奏会に寄せて
前半はカラフルな風と光のプレリュード、メシアンの代表作《鳥のカタログ》より、大地の響きを思わせる第5巻『 ヒメコウテンシ』、そして神秘的な美しさを放つ第2巻『 カオグロヒタキ』。
ドビュッシーとラヴェルを挟み、深淵な創作の森に足を踏み入れてまいります。
後半は鮮烈なカーターと緻密なデュティユーを交え、「実験音楽」の爆発と沈黙を体感できればと思います。
時に現れる凶暴さは「芸術におけるバイオレンス」として、社会のなかでの文化の在り方を考えさせてくれるように感じていま す。
そして、記念碑的な《幼子イエスに注ぐ二十のまなざし》へ。
音楽家のみならず、神学者、鳥類学者、レジスタンスとして捕虜にもなったメシアンの音楽は、 自然を賛美し、人間のはかさを暗示し、 同時に全能者に対する愛と感謝で溢れています。
光閃が目の前に広がるような感覚から、「私の名は不思議という」という士師記の言葉が浮かびました。光度の高い音の連なりは、 多彩に色づき、幻想を香らせ、 温度のあるエクスタシーを残していきました。
その「不思議」は何だったのか。もう一度そこに浸りたいと追い求めたくなるのが、 メシアンという人です。
皆さまとともにメシアンが遺した神秘の魔法に包まれる時間を楽しみにしております。 深貝 理紗子
(注)旧約聖書士師記(ししき)13章18節に、「主の使いは言った。“なぜ私の名を尋ねるのか。 私の名は不思議だ”」とある。“不思議”とはワンダー、 ワンダフルのことで、驚き、素晴らしい、 という意味も含まれている。
今回のご出演にあたり、インタビューをさせていただきました!
フランス音楽についてのみならず、フランスのサロン文化の歴史や政治など、幅広い見識の持ち主である彼女は、まさに知識の泉。
今回、サロンが旗をあげて取り組む特別企画、作曲家オリヴィエ・メシアンをテーマとした演奏会を開催するにあたって、お話しを伺いました。
<プロフィール>
深貝 理紗子(FUKAGAI Risako)Piano
東京音楽コンクール第2位、ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトC部門アジア大会ブロンズ賞、フランスピアノコンクール第1位、C.カーン国際音楽コンクール第3位、J.フランセ国際音楽コンクール入選など国内外で受賞。
2015年渡仏。パリ・エコール・ノルマル音楽院の最高高等演奏課程に授業料全額免除奨学生として在籍し卒業。パリ・スコラ・カントルム音楽院ヴィルトゥオーゾ課程及びコンサーティスト課程を審査員満場一致の最高評価を得て首席で修了。
これまでに下野竜也氏、川瀬賢太郎氏などの指揮のもと東京交響楽団などと共演。東京文化会館主催公演や岩崎ミュージアム・山手ゲーテ座主催公演をはじめとして多数のコンサートに出演。皇居での御前演奏や、フランス「世界文化遺産の日」を記念する文化財でのデモ演奏、パリ市内「若手指揮者育成のためのワークショップ」公式ソリストなども務めた。
これまでにピアノを横山幸雄、オリヴィエ・ギャルドンの各氏に、室内楽をシャンタル・ド・ビュッシー、原田禎夫、今井信子、松本健司の各氏に師事。
現在演奏活動の傍ら、コンクールの審査員や主宰音楽教室、インターナショナル音楽教室にて後進の育成とクラシック音楽の普及に尽力している。
オフィシャルホームページ:https://risakofukagai-official.jimdofree.com/