News ニュース

演奏、学究、評論の面で異彩を放ち始めた鐵百合奈氏が学藝顧問に就任

演奏、学究、評論の面で異彩を放ち始めた鐵百合奈氏が学藝顧問に就任

このたび、2018年10月1日をもって美竹清花さろん学藝顧問として、ピアニストの鐵 百合奈さんをお迎えする運びとなりました。 

クラシック音楽は、時代や地域を超えて万人のものでなければならない、それはちょうど太陽のような存在だ――
これはわたしたちの事業にかかわる根本的な理念です。しかしそれは、専門性を排除するものではなく、また、ポピュリズムを許容するものでもありません。
クラシック音楽が、その誕生以来の歴史を通じて、あらゆる地域や国家の枠を超えて万人に支持されるようになってきているのは、その普遍性に依るものと考えられます。
すなわち、あらゆる芸術や倫理、哲学、人文科学と同様、人間の本質的な普遍性を根拠とした、多くの先人たちのありとあらゆる営み、努力、研鑽、創意工夫などの蓄積の上に成り立ち、発展してきたといえます。

このようなかけがえのない膨大な遺産として継承されてきているクラシック音楽には、それにふさわしい扱い方・接し方というものがあるはずです。これは演奏者にのみ要請されるものではなく、企画し、場や機会を提供する興行者側はもちろん、聴衆の側にも求められるはずです。
さまざまなコンサートは、作品とその演奏者、企画者、そして聴衆(さらには今後、聴衆となってくださる方々)によって成り立っています。
そこにもう一つの要素、すなわち、その三者をより近づけ、より親しみのある視点から、作品や演奏が具えているポテンシャルを発揮させ、魅力を高めるための“連結ピン”のような役割を発揮される方を加え、より活発に、より魅力のある、より意義のある活動をしていくことができるのではないか、そのように考えました。今回、美竹清花さろんの学藝顧問として鐵百合奈さんをお迎えすることは、まさにこのような点に意義を感じてのことです。

 

鐵百合奈さんの文章にはすでに人を惹きつけるような"華"があります。
彼女が以前、“音”というのは単なる"表層の出来事"であって、いかに表層的な現象ではなく、"本質"の方に集中して表現できるかが重要だとインタビューでお答えいただいたとき、とても共感し、書くことと演奏することは彼女にとって表裏一体であることを感じました。
そんな鐵百合奈さんの第一級のピアニストとしての側面、クラシック音楽の学究的専門研究者としての資質、さらに、柴田南雄賞本賞に輝くクラシック音楽の「紹介者、音楽評論家」としての実績、さらには、これがもっとも大切なものかも知れませんが、美竹清花さろんに登場する多くの才能に溢れた若い演奏家仲間の一員としてエールを送ってくださること、このような欲張った考えから美竹清花さろんの諸活動に関する実際的な学藝顧問としての役割をお願いすることになりました。

「敷居を低くするような必要もなく、迎合もせず、しかし、クラシック音楽の本質は真理であるゆえに、音楽に始まり音楽に終わるようなこともなく、皆が親しめるサロン」
――そんなサロンを理想に掲げ、鐵百合奈さんを学藝顧問にお迎えし、さらに発展させていけるよう努めてまいります。

 

 

鐵 百合奈 Yurina Tetsu

香川県生まれ。第86回日本音楽コンクール第2位、岩谷賞(聴衆賞)、三宅賞。第4回高松国際ピアノコンクール審議員特別賞。日本クラシック音楽コンクール高校の部グランプリ。大阪国際/ローゼンストック国際ピアノコンクール、各第1位。
皇居内桃華楽堂にて御前演奏を行う。これまでに神奈川フィルハーモニー管弦楽団、芸大フィルハーモニア、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、高松交響楽団と共演。
2017年度香川県文化芸術新人賞受賞。
論文「『ソナタ形式』からの解放」で第4回柴田南雄音楽評論賞(本賞)を受賞、翌年『演奏の復権:「分析」から音楽を取り戻す』で第5回同本賞を連続受賞。
ヤマハ音楽振興会、よんでん文化振興財団、岩谷時子Foundation for Youth、宗次エンジェル基金、各奨学生。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学をアカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を得て卒業。同大学院修士課程を大学院アカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞を得て修了。現在、同博士後期課程音楽専攻に在籍、青柳晋氏に師事。

 

 

<学藝顧問就任のご挨拶>

収益第一に商業主義的に経営している主催者が多い中で、芸術の本質を追究しようとしている姿勢、演奏家にとって本当に良い場所を共に創っていってくださろうとしている姿勢に心からの敬意を抱きました。
そういう場所は私はどこにおいても経験していません。
私などお役にたたないと思いながらも、少しでもご協力できればと引き受けさせていただきましたゆえんです。
学芸顧問という名称は私にはあまりにも大きすぎるのですが、私たちが音楽に惹かれるのは、自らの孤独と対峠することによって世界との関わりかたを見つめることに意味を見いだすからであると思います。
その原点からはずれないような演奏、執筆をできるように心がけます。(鐵 百合奈)