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音楽の捧げ物

音楽の捧げ物

3月7日こけら落とし【第二十一夜】黒岩航紀ピアノコンサート

 

こけら落としもシリーズも残すところあと2公演!
第21回目は黒岩航紀さんのソロコンサートでした。

意外にも、当サロンで完全なソロでの登場は今回が初めてです。
黒岩航紀さんの初登場は美竹清花さろんプレオープンでの五十嵐薫子さんとの2台ピアノによるラフマニノフ第2番。今も語り草になっているほどの名演でした。


今回のプログラムは聞き応えのある難曲が多く、とても充実しています。
それに、聴けば聴くほど面白い黒岩航紀さんのソロです。ですので、当然、期待はしていました。
特に注目していたのは、初めての悲愴、ショパン幻想ポロネーズ、リストのソナタです。



<プログラム>

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 ハ短調「悲愴」Op.13
ショパン:ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61「幻想」
リスト:スペイン狂詩曲 S.254
リスト:愛の夢第3番 S.541
リスト:ピアノソナタ ロ短調 S.178
 

 


いつものように始まりました。



・・・・しかし、何かが違います。黒岩さんの今回のプログラムに込められた思いが語られてから演奏に入ります。これも彼のやり方です。

しかし、演奏が始まるや否や、ガツーンと打ちのめされました。
面白い、今回はなんだ、彼は今どんなベートーヴェンを弾こうとされているのか・・・・?

音楽を言葉で著すことなどほとんど不可能、しかも私のような"聴くのみ"の人間に。
ですが、小澤征爾さんも言われているように、
「音楽とは太陽のようなもの、プロもアマもない、専門家も素人もない」、これに共感しています。



そもそも、美竹清花さろんのモットーは、「心、言葉、音楽、そしてコミュニケーション」としています。
音楽を中心にしていますが、心も、言葉も、コミュニケーションも、理論で語るようなものではなく、
感じるもの、現すもの、行為に、実践に、日々の生活に活かすものだと思います。



人にとって、音楽とは何でしょう?

人の生命・生活・生涯に、音楽はどのような影響を与えることができるのでしょうか?
人類社会に、果たしてクラシック音楽はどのような貢献をしてきているのか、また、将来のその可能性は・・・・?


 

今回の黒岩航紀さんの演奏について語ることはほとんど不可能です。
作曲家・作品、黒岩航紀というアーティスト、美竹清花さろんに集い、一期一会の体験をされた方々のみが、味わうことができた至福がありました。

演奏が終わっても帰らない方が多く、全員が帰られたのはなんと22:00過ぎです。

主催・運営の側(3名)は、本来、黒子に徹すべきだと思いますが、今回だけは、どうしても皆様と語り合いたくなり、アンコールの後、しゃしゃり出てしまいました。

今日この場に居合わせた人だけが味わうことができた幸せのひとときでした。
そのすばらしさは、黒岩さんが弾かれる前に語られたホンモノの思いを、皆が確認しながら聴き、味わうことができたということも大きく影響しているかとは思います。

しかし、何よりも、黒岩さんの真摯な楽譜との対峙から生まれたものでしょう。

個人的な感想としては、沈黙を突き破って現れ出でてくる音に託した生命力の多様さ、その多様さが示す新鮮な物語を語り、導く黒岩航紀という不思議なピアニストの面白さ、多様さ、深さ、幅広さ、等々に感心し尽くした、という感じでしょうか…。


音楽の三要素は、メロディー・リズム・アンサンブルなどと言います。
もちろん、そうした面での超一流の技倆は大したものですが、その根源にある要素、
すなわち「音楽は“沈黙と現れている音”によって成り立っている」──
というシンプルな事実をあちこちで垣間見せてくれる黒岩航紀さんの演奏は、実に興味深く、また感動的です。

それを証明するように、ショパンの幻想ポロネーズでは「こんなにも倍音が広がるのかぁ…」と
音の響と静寂が深みを増し、なんとも言えない幻想的な空間に驚きを隠せませんでした。


毎回毎回、新鮮な、「音楽とはこういうものかも知れません!」という “音楽の捧げ物” をプレゼントしてくださる黒岩航紀さんの今回の演奏にもう一度 “ブラヴォー” です!

アンコールも含め、すべてすばらしかったですが
もっとも勉強になったのは、リストのソナタでした。

黒岩さんの解説も、どこにもない見事なもので、これを踏まえて聴けたことは、とても有意義だったと思います。