四時代を見渡して
〜バロック、クラシック、ロマン、近現代、それぞれの感情の行方〜
バロック時代の曲は、実は感情豊かである。「感情pathos」の定義こそ変容しているものの、豊かに盛り込まれた感情表現は、ロマン派に相通ずるものがある。
そして、クラシック(古典派)と近現代は?論理的に曲を構築しようとした点において、対極に思えるこれらの時代にも多くの共通点がある。一聴して奔放に思える曲も、確かな礎があるからこそ自由に飛翔することができる…。
今回のコンサートでは、バッハのシャコンヌ(ブラームス編曲)とシューマンのピアノソナタ第2番で「激情」と「熱情」を、モーツァルトのピアノソナタ第11番とスクリャービンの幻想ソナタで「浮遊」と「夢幻」を表現できたらと思っています。
時代を超えて、会場の皆さまと音楽を共有できたら幸せです。
(鐵 百合奈)
プロフィール
鐵 百合奈(てつ・ゆりな)Piano
第86回日本音楽コンクール第2位、岩谷賞(聴衆賞)、三宅賞。第4回高松国際ピアノコンクール審議員特別賞。日本クラシック音楽コンクール高校の部グランプリ。大阪国際/ローゼンストック国際ピアノコンクール、各第1位。皇居内桃華楽堂にて御前演奏を行う。これまでに神奈川フィル、芸大フィル、東京シティ・フィルと共演。
論文「『ソナタ形式』からの解放」で2017年柴田南雄音楽評論賞(本賞)を受賞。
ヤマハ/よんでん/岩谷時子/宗次エンジェル基金、各奨学生。
東京藝術大学をアカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を得て卒業。同大学院修士課程を大学院アカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞を得て修了。現在同博士課程、青柳晋氏に師事。