知的なセンスから生まれる繊細で奥深いニュアンス、薫ってくるような瑞々しい音楽性─
大江馨さんが美竹サロンに初登場!豪華なプログラムと注目のデュオ。
大江馨さんは5歳からヴァイオリンを始め、内外で華々しい活躍をスタートさせている俊英のヴァイオリニストだ。しかし、法律を学ぶという異色なキャリアの持ち主でもあり、音楽のみに偏していない視野の広さと深さ、柔軟性をあわせもっているようだ。
桐朋学園大学ソリストディプロマコースに特待生として入学するものの、同時に慶應義塾大学法学部にて学んでいる。
19歳で出場した2013年第82回日本音楽コンクールのヴァイオリン部門では、辻彩奈、土岐祐奈、北川千紗と逸材揃いのなか、第1位あわせて聴衆賞など全賞を受賞した。
卒業後に渡欧(ドイツ)、彼の躍進は止まらなかった。数々の著名なソリストを輩出しているドイツ・クロンベルクアカデミーを修了。
2019年、レオポルトモーツァルト国際ヴァイオリンコンクールでは第3位ならびに委嘱作品賞を受賞。音楽家として一回りも二回りも大きく脱皮していった。その変容は今もとどまることはない。
そうした特性が演奏面にはどのように発揮されているのだろう。音楽の"美しさ"とは何だろう。また、演奏の説得力の正体はどこからやってくるのだろう。美しい音色や響き、魅力的なテンポ、情緒的な歌――決して表面に現れている我々が接することのできるそれらだけで構成されているのではないだろう。その背後には、作品と客観的に向かい合い、分析し、追究し、作品を深く自分のものとしている誠実さ、努力があるのだろう。そういった音楽に対する真摯さは、自然に聴き手に伝わるものだ。
大江馨の歌心、そして繊細な美音から醸し出される真の"美しさ"を、小さなサロンという贅沢な空間で愉しみたい。プログラムも魅力に溢れる豪華なものとなっている。
さらに今回注目すべきは、今や演奏のみならず指導者としても定評のあるピアニストの吉田友昭氏との共演だ。
吉田さんのピアノ演奏は、一体どこからそんな音楽が溢れてくるのかと思ってしまうような、深い詩情と独特のゆらぎが滲み出る"味のある"演奏とでも言うのだろうか。
一昔前、クラシック黄金時代の頂点を極めた巨匠たちのピアノに、どこか通ずるものがある。
どこか現代風ではないといえるかも知れないが、企画化された演奏の多い現在、彼のようなアプローチが必要とされているような気もする。
今回はそんな奥深いニュアンスを持つ二人の音楽家が、いったいどんな相乗効果を生み出すか、それも外せない聴きどころの一つだ。
(美竹清花さろん)
プロフィール
大江 馨(OOE Kaoru)Violin
1994年生まれ仙台市出身。5才よりヴァイオリンをはじめ桐朋学園大学ソリストディプロマコースに特待生として入学。同時に慶應義塾大学法学部で学び、卒業し、その後ドイツのクロンベルクアカデミー修了。
2019年レオポルトモーツァルト国際ヴァイオリンコンクール第3位ならびに委嘱作品賞受賞、2013年日本音楽コンクール第1位、併せて増沢賞他全賞受賞等国内外にて数々の受賞。
これまでにNHK交響楽団、ミュンヘン放送管弦楽団、東京フィル、新日本フィル、東京交響楽団など数多くのオーケストラと共演を重ねる。室内楽においては、スティーブン・イッサリス、クリスチャン・テツラフ、サー・アンドラーシュ・シフ、清水和音等の著名なアーティストとの共演も数多い。
これまでに、渋谷由美子、堀正文、漆原啓子、堀米ゆず子、クリスチャンテツラフの各氏に師事。2010年度ヤマハ財団音楽支援奨学生。2013年度宗次エンジェル基金奨学生。2014,2015年度公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。2016年度よりワオ・コーポレーション奨励金制度対象者。使用楽器は文京楽器協力のもと、Beare International Society よりJ.B.Vuillaumeを貸与されている。
吉田 友昭(YOSHIDA Tomoaki)Piano
東京芸術大学を経て20歳時にヨーロッパへ移住。パリ国立高等音楽院を一等賞の成績で卒業した後、イタリア・ローマ聖チェチーリア音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学を修了。第79回日本音楽コンクール第1位、マリア・カラス、ホセ・イトゥルビ、マリア・カナルス、ハエン、シドニー他の国際コンクールで優勝・入賞。フランスに5年間、イタリアに4年間、オーストリアに3年間居住した後、2015年に日本に帰国。現在、東京音楽大学にて講師を務める。