日本人デュオ初の快挙。
ARDミュンヘン国際音楽コンクール第3位!
アンサンブルの現場に立ち会うと、
互いに呼吸を合わせようとする瞬間がある。
ピアノ連弾というジャンルは、
同じ楽器を四手で奏でるという特性ゆえに、とりわけ「
合っていなければ不自然」と感じられやすい形態だろう。
「坂本姉妹の連弾を、ぜひ聴いてみてほしい」
そう勧められることが、これまで幾度もあった。
姉妹で、しかも若い。
第一印象は“可憐な美人姉妹”というものだった。
話題性が先に立つのではないか——
そんな先入観があったのも事実である。
だが、それはすぐに覆される。
最難関の一つとされる第70回ARDミュンヘン国際音楽コンクー
ルのピアノデュオ部門において、
日本人デュオとして初の第3位入賞、さらに聴衆賞を受賞。
そのほか、ポーランドの国際ピアノデュオコンペティション、
チェコのシューベルト国際ピアノデュオコンクールでの第1位など
、国内外で確かな足跡を刻み続けている。
その実績は、揺るぎない。
とりわけ“最も難しい連弾作品”とも称されるシューベルト《
幻想曲》の演奏動画からは、
その音楽性の深さが画面越しにも脈々と伝わってくる。
姉妹だからだろうか。
呼吸を合わせているというよりも、自然に合ってしまう。
音楽を擦り合わせるというより、
もともと同じ方向を見つめているかのようだ。
まるで一人が四つの手で弾いているかのような一体感。
しかしそこには、彩とリサ、
それぞれの明確な個性が息づいている。
そして何より、揺るぎない信頼がある。
そのことが、音の奥から静かに伝わってくる。
繊細でありながら絢爛。
とりわけ、音楽の"横の流れ"の美しさは特筆すべきだ。
旋律が自然に受け渡され、
響きが途切れることなく次へと連なっていく。
腕の美しい運びに導かれるように、
聴き手はいつしか音楽の核心へと引き込まれていく──
今回のプログラムは、
そんな二人の資質を存分に映し出す内容である。
グリーグ《ノルウェー舞曲》、ブゾーニ《フィンランド民謡》、
ラフマニノフ《6つの小品》、ラヴェル《マ・メール・ロワ》、
別宮貞雄《北国の祭り》、そしてブラームス《ハンガリー舞曲集》
。
民族の息づかいを感じさせる舞曲の数々。
幻想的な色彩をまとった物語の音楽。
そして躍動するリズム。
それは、彩り豊かな音楽の旅──
呼吸を合わせるのではない。
自然に重なる。
サロンで体験する坂本姉妹の連弾は、まさに「連弾の真価」
を示すひとときとなることだろう。(渋谷美竹サロン)