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上村文乃&中野翔太デュオ・リサイタル

2022年04月22日 [金]
開場18:30 開始19:00
渋谷美竹サロン

出演

ピアノ 中野 翔太

プログラム

ショスタコーヴィチ:映画「馬あぶ」からロマンス
レスピーギ:アダージョと変奏
ガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー(ピアノ・ソロ)

黛敏郎:Bunraku(チェロ独奏)
ロッシーニ/テデスコ:フィガロ
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40

※プログラム等は、やむを得ない事情により、 変更になる場合がございます。

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

5,000円(一般・全席自由席)
4,500円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら

お問い合わせ先

主催美竹清花さろん/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com
注目のチェリスト上村文乃、 多彩な才能の中野翔太
この二人のデュオによる二十世紀の巨匠の作品を中心に──


チェロの音は実に身体にやさしく響いてくれる。
低音のふくよかな弦の響きがまるで人の声のようにあたたかく語り、心地よく全身に沁み渡る。
今回も特筆に値すべきすばらしい演奏会が実現することになったのではないだろうか。
美竹サロンではこれまで演奏される機会が少なかった“チェロのソロ”を堪能できることになった。
先月、ホテルオークラ音楽賞を受賞したばかりの話題の注目の美しきチェリスト上村文乃氏の初登場も実現することになった。
上村氏といえば、ソロのみならずトリパルティ・トリオ(Vn.米元響子、Pf.菊池洋子)として、また、世界最高峰のバッハ演奏集団であるBCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)のメンバーとしても活躍中のピリオド、モダンともに弾きこなす逸材チェリストである。
長身で華やかな彼女が紡ぎ出すチェロの音色は柔らかく、かつ凜としており、その深い表現に魅了されてしまうだろう。
そんな彼女と今回共演するピアニストは中野翔太氏である。
幅広く多彩な才能の中野翔太氏の経歴も、実に華やかなものだ。
名門ジュリアード音楽院、同大学院を卒業し、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(小澤征爾指揮)等と多数の話題の共演を重ねて来ている。
クラシックの音楽家としては珍しく、ジャズや現代曲、作曲に至るまで、幅広い取り組みで活躍されているのも彼の特長ではないだろうか。

今回のチェロとピアノを心ゆくまで堪能できるようなプログラムには、様々なアイデアが隠されていて、とても興味深い。
ソロあり、デュオあり、ソナタあり…と、バラエティに富んだ盛りだくさんなプログラムに一見、感じるが、実はすべて激動の時代を生き抜いた“二十世紀の巨匠たち”が生み出した作品ばかりなのだ。


ショスタコーヴィチ(1906年~1975年)ロシア:映画音楽「馬あぶ」Op.97より ロマンス
レスピーギ(1879年~1936年)イタリア:アダージョと変奏
ガーシュウィン(1898年~1937年)アメリカ:ラプソディー・イン・ブルー(ピアノソロ)
黛敏郎(1929年~1997年)日本:Bunraku(チェロソロ)
カステルヌーヴォ=テデスコ(1895年~1968年)イタリア:フィガロ(ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」より)
ショスタコーヴィチ(1906年~1975年)ロシア:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40


すべて聴きたくなる作品ばかりであるが、なんと言っても注目すべきは、最初と最後に配置されたショスタコーヴィチではないだろうか。
ショスタコーヴィチの音楽は、どこか光と闇を見るような強烈な個性と異彩を放ち、シニカルな印象に恐怖すら感じることすらあるのだが、今回は少し趣が異なっている。
一曲目の映画音楽「馬あぶ」Op.97より ロマンスでは、ショスタコーヴィチの音楽にこれほど優しく繊細なメロディが存在するのか、と思ってしまうほど美しさが際立つ。
そして、大トリであるチェロ・ソナタ ニ短調 Op.40はシニカルな要素を持ちつつも、洒脱で叙情的。
チェロのあたたかい音色と瑞々しい音楽性を感じ取れるような作品となっていて、きっとショスタコーヴィチの"意外な一面"を発見することとなるだろう。

その他のプログラムもチェロとピアノを堪能するにふさわしい内容なので、少し紹介したい。
レスピーギのアダージョと変奏は、元々はチェロと管弦楽のための作品を、今回はチェロとピアノで奏でられ、流麗で穏やかな旋律が耳に心地よく響いてくるはず。
そして、クラシック音楽に馴染みがない人も一度は聞いたことがあるだろう、ガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルー。
たった2週間で書き上げられたというユニークな作曲の背景で知られるこの作品だが、クラシックとジャズを融合させた作品の先駆けとなり、今でも人の心を掴むような訴求力を持つ作品だろう。
黛敏郎の「Bunraku」は、日本の三大芸能のひとつである「文楽(人形浄瑠璃)」の世界を、西洋楽器であるチェロにリダクションしようという試みであるそうだ。
日本の禅の文化が生み出した、緊張感の高い音楽が、不思議な心地よさを感じさせる。
一説によると、黛敏郎氏は非常に厳しい一面もあったそうで(?)この作品の前衛的な取り組みからも、彼の意思が宿っていると感じられる。
そして、ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」よりカステルヌオーヴォ・テデスコ編曲のフィガロ。
カステルヌーヴォ=テデスコは実はレスピーギと同年代の作曲家で、「名犬ラッシー」や「スーパーマン」など、映画やドラマにいたるまで、幅広いジャンルの楽曲を生み出している。
今回の作品は同じくイタリアの作曲家、ロッシーニの軽快で美しい旋律をチェロが豊かに奏でます。

言葉で表現するのはこの辺が限界だろうか。初登場の本格派の奏者二人が紡ぎ出す、二十世紀の巨匠たちが生み出した作品たちを、こんな時代だからこそ、何か感じるものがあるのではないだろうか、平和を願うばかりである。

(美竹清花さろん)


プロフィール
上村 文乃(KAMIMURA Ayano)Cello

6歳よりチェロを始める。第2回泉の森ジュニアチェロコンクール小学生部門銀賞。第4回同コンクール中学生部門銀賞。第7回日本演奏家コンクール弦楽器中学生部門1位及び芸術賞。第15回日本クラシック音楽コンクール全国大会中学生部門にて最高位。第5回東京音楽コンクール弦楽部門第2位。第4回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽器部門第1位およびルーマニア大使館賞受賞。第80回日本音楽コンクール第2位。第65回全日本学生音楽コンクール大学の部第1位。いしかわミュージックアカデミーにてIMA音楽賞受賞し、翌年アスペン音楽祭(米コロラド州)に奨学生として参加。第30回霧島国際音楽祭に奨学生として参加し、霧島国際音楽祭賞を受賞。サントリーホール室内楽アカデミー第1期生となり、レオン・フライシャーなどの指導を受ける。これまでに小林研一郎/東京フィルハーモニー交響楽団等と共演。また、東京・春・音楽祭、宮崎国際音楽祭、JTアートホール室内楽シリーズ等に出演。チェロを毛利伯郎・堤剛・アルト・ノラスの各氏に、室内楽を原田幸一郎、徳永二男、クァルテット・エクセルシオの各氏に師事。桐朋学園大学ソリストディプロマコース卒業後。ハンブルグ音楽演劇大学を経てバーゼル音楽院に留学し、2020年7年間の留学生活を終え帰国。オーケストラとの共演や国内外での室内楽での演奏も高く評価されている。トリパルティ・トリオ(Vn米元響子、Pf菊池洋子)やバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとしても活躍中。2022年3月に第23回ホテルオークラ音楽賞を受賞。
オフィシャルHP https://www.ayano-kamimura.com/


中野 翔太(NAKANO Shota)Piano

江戸弘子に師事し、1999年からジュリアード音楽院プレ・カレッジに留学。その後、同音楽院に進み、ピアノをヨヘヴェト・カプリンスキーに、室内楽をイツァーク・パールマンに師事、2009年に同大学院を卒業。
これまでに明治安田生命クオリティオブライフ文化財団、財団法人江副育英会の助成やソニー・フェローシップ・グラントを受けている。1996年第50回全日本学生音楽コンクール小学生の部で全国1位および野村賞受賞。
これまでにシャルル・デュトワ指揮/NHK交響楽団、小林研一郎指揮/読売日本交響楽団、小澤征爾指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団等と多数共演。リサイタルでは、第20回<東京の夏>音楽祭、東京オペラシティ主催「B→C」、トッパンホール、紀尾井ホール、東京文化会館小ホールなどで意欲的に行っている。最近では、ジャズの松永貴志と即興も交えた2台ピアノ、そのほか3台ピアノやヴァイオリンとの室内楽等でも各地で好評を得ている。
CDは、オクタヴィア・レコードより「シューマンピアノ曲集」「ガーシュウィンピアノ曲集」「ラ・ヴァルス~ラヴェル&コリリアーノ:ピアノ作品集」の3枚をリリース。いずれもレコード芸術誌の特選盤、”ガーシュウィン”はあわせて優秀録音盤に選出されている。2014年、ウラディーミル・アシュケナージ指揮/NHK交響楽団との共演は、豊かな表現力と透明感のある響きで好評を得た。クラシックを基盤に、作曲、編曲、ジャズ演奏など音楽活動の幅を広げている。第15回出光音楽賞受賞。浜松国際ピアノアカデミー2021の講師を務める。
公式YouTubeチャンネル https://www.japanarts.co.jp/artist/ShotaNAKANO