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秋元孝介ピアノリサイタル

2022年10月08日 [土]
開場14:30 開始15:00
渋谷美竹サロン

出演

プログラム

メトネル:4つのおとぎ話 Op.34
ラフマニノフ:幻想的小品集 Op.3
 第1曲 悲歌
 第2曲 前奏曲(鐘)
 第3曲 メロディ
 第4曲 道化役者
 第5曲 セレナード

メトネル:2つのおとぎ話 Op.20
メトネル:ソナタ・ロマンティカ 変ロ短調 Op.53-1

*プログラム等は、やむを得ない事情により、 変更になる場合がございます。

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

4,000円(会員・指定席あり)
4,500円(一般・全席自由席)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン(美竹清花さろん)/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com
深い構成力と洞察力、ふくよかな響き、安定したテクニック――
ピアニスト秋元孝介のメトネル、ラフマニノフを体験する


ピアニスト“秋元孝介”の名は、葵トリオによって一躍知られるようになった。深い構成力と洞察力、ふくよかな響き、安定したテクニック── それは葵トリオのサウンドに必須なものだった。ピアノ三重奏という編成においてピアニストの存在は極めて大きい。葵トリオにしかない響き、葵トリオのサウンドというものがあり、それは確実に日本の室内楽の歴史に新たなページを開き、先導する存在となっている。その要となっているのが “秋元孝介のピアノ”である。 “秋元孝介のピアノ”は、葵トリオの響き、サウンドの連結ピンなのである。
古典から現代まで、レパートリーが極めて広い葵トリオではあるが、最近では、彼らのレパートリーの充実の方向性に、何というか、美学のようなものを感じる。
ハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、アレンスキー、サン=サーンス、ドヴォルジャーク、フランク、細川俊夫に至るまで…かなり幅広く、さらに各プログラムの組み合わせも魅力的である。そのレパートリーは、基本的には秋元氏が中心になって選んでいるらしい。センスの良さというかバランス感覚の良さというか…本質を見抜くような深い洞察力が感じられるのではないか。
そんな彼の稀少な機会として、2回目のソロリサイタルがこのたび開催されることになった。
前回のソロ公演ではショパンのエチュード全曲が演奏されたが、これほどあらゆる面で“巧い”ピアニストは存在しないと、本当に驚いたものだ。
「秋元さんがソロで、本気で取り組みたい作曲家は何ですか?」── 以前、こんな質問をさせていただいたことがあった。
その回答は即座に、「メトネルです」であった。
まったく予想外の作曲家を迷うことなく即答したので、サプライズであった。

ロシアの作曲家、メトネル(1880年〜1951年)をご存知の方は少ないかも知れない。ピアノを嗜む方であれば「おとぎ話」などのいくつかの作品をご存知かもしれない。
ロシアの作曲家と一括りにいっても、ロマンティックな書法を大切にしたチャイコフスキー、ラフマニノフや、前衛的な書法のプロコフィエフ、ストラヴィンスキーなど、様々だ。
メトネルの音楽は、私たちがイメージしている"ロシア音楽"とは異なる特色を持っているようだ。
伝統的で緻密な書法で描かれた楽譜からは、保守的な美しい響きが醸し出される。そんなメトネルの音楽は“ロシアのブラームス”と称されることもあるが、ラフマニノフはそのことに対して以下のように批判している。

メトネルを作曲家として何か特徴づけようとして、"ロシアのブラームス"と呼んだ人もいましたが、それは失敗でした。
メトネルはあまりに個性的であり、誰かに似ているということではなく、やはりロシア人作曲家メトネル本人でしかないのです。※⑴


ラフマニノフとメトネルは生涯互いを尊敬しあっていた間柄だったそうだ。メトネルの音楽には、シューマンやブラームス、時にベートーヴェンなど、ドイツの巨匠をイメージさせるものがあることは確かだ。しかし、メトネル自身の意識はどこにあったのだろうか。

メトネル自身の意識、「主観的な感覚」では、モーツァルトやべ一トーヴェンそして部分的にバッハを自分の主な師、インスピレーションの源として仰いでおり、シューマンやブラームスは意識されていない。シューマン=ブラームス的スタイルとの親近性(ブラームスの方が優勢であるが) は 、直接的な影響によってではなく、何か隠れた創造的、心理的一致によって形成されたのだと思われる。※⑵

なるほど。メトネルという作曲家は、知れば知るほど、聴けば聴くほど、新たな発見と魅力が滲み出てくるようだ。
慧眼の秋元孝介というピアニストが、メトネルを探求するのは妙に納得できる。
メトネルの作品は前述の通りラフマニノフをはじめ、ルービンシュタイン、ホロヴィッツなどの名ピアニストたちによっても好んで取り上げられたそうだ。
そんな数々の巨匠を魅了してきた珍しいメトネルの作品たちが、ピアニスト秋元孝介の探求によって明らかにされることになった。この大変に貴重な機会は、決して逃したくない。

※⑴ 高橋健一郎. 同時代人の見たニコライ・メトネル(10) p.147
※⑵ 高橋健一郎. 同時代人の見たニコライ・メトネル(10) p.145

(美竹清花さろん)


プロフィール
秋元 孝介(AKIMOTO Kosuke)Piano

兵庫県西宮市出身。兵庫県立西宮高等学校音楽科を経て、東京藝術大学、同大学院修士課程修了。学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞、大賀典雄賞、三菱地所賞、クロイツァー賞、平山郁夫文化芸術賞などを受賞。これまでに第2回ロザリオ・マルシアーノ国際ピアノコンクール第2位、第10回パデレフスキ国際ピアノコンクール特別賞などを受賞。日本とヨーロッパ各地でソロリサイタルや、ソリストとしてオーケストラとの共演のほか、様々な室内楽の公演に携わっている。また師の有森博とのピアノデュオによるストラヴィンスキーの「春の祭典」を収録したCDが2017年6月に発売、レコード芸術誌で特選版に推薦された。これまでに、緒方裕子、片山優陽、青井彰、有森博の各氏に師事。サントリーホール室内楽アカデミー第3期フェロー。2015年度公益財団法人青山財団奨学生。2017・18年度宗次エンジェル基金/公益社団法人日本演奏連盟新進演奏家国内奨学生。2019年度より、公益財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団海外音楽研修生。現在は葵トリオとしてミュンヘン音楽演劇大学大学院に在籍するほか、東京藝術大学大学院博士後期課程でも研鑽を積んでいる。