鈴木 舞 × 實川 風 が今年も登場!
悲哀に充ちたシューマンと、プロコフィエフの閃き──
美竹サロンではお馴染みになりつつある彼らの音楽は、生演奏ならではの新鮮な輝きを放ち、いつも聴き手の魂にまっすぐに届く。
鈴木氏のヴァイオリンは深く、熱く、雄弁、そして限りなく颯爽としている。
彼女の弾き姿はあまりに美しく清らかで神々しく、多くを語らずともヴァイオリンに全てを捧げているのが伝わってきて、こみ上げてくるものがある。その求道的で厳しい姿勢は、まるで"ヴァイオリンの女流剣士"と表現したくなるくらいの凛々しさだ。
そんな彼女のヴァイオリンと対話するように、實川氏のピアノが清流の如く心地よく音楽を導く。
彼のピアノは常に自然な音のエネルギーにまかせて進み、奥深い世界からの共感を示す。その響きはあまりに美しく、響きのなかに生まれる静寂や無音と沈黙さえも、すべてが生き生きとした生命あふれる一つの音楽となる。
さて、今回はそんな二人がセレクトしたプログラムにも注目したい。
夢想的で悲哀に充ちた旋律線がなんともシューマンらしいヴァイオリン・ソナタ第1番 と、憂鬱で情熱的な作品として有名なプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番。後者は第二次大戦の影を感じるような暗い曲調にも関わらず、何度聴いても新しい"ひらめき"を感じさせられる不思議な音楽だ。
鈴木舞と實川風のデュオというだけで心躍る感動的な演奏会になることは自明のことだが、COVID-19による自粛期間の辛抱を経て、定評の一期一会の演奏会で生まれる感動をわかち合いたいものだ。
(美竹清花さろん)
プロフィール
鈴木 舞(SUZUKI Mai)Violin
東京芸術大学を経て、ローザンヌとザルツブルク、ミュンヘンで研鑽を積む。
2013年ヴァーツラフ・フムル国際ヴァイオリンコンクール(クロアチア)、オルフェウス室内楽コンクール(スイス)第1位。16年スピヴァコフ国際ヴァイオリンコンクール(ロシア)第2位等、内外のコンクールで優勝・入賞を重ね、これまでにスイス、チェコ、フィンランド、クロアチアなどのオーケストラと共演をするほか、各地で室内楽やリサイタルに招かれている。将来を嘱望される新世代のヴァイオリニストとして、2012年度シャネル・ピグマリオン・デイズ・アーティストに選ばれた。
2017年9月にキングレコードよりデビューCD「Mai favorite」をリリース。使用楽器は1683年製のニコロ・アマティ。
Web site:
maiviolin.com
實川 風(JITSUKAWA Kaoru)Piano
2015年ロン・ティボー・クレスパン国際コンクール(パリ・フランス)第3位、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞を受賞。2016年カラーリョ国際ピアノコンクール(カラーリョ・イタリア)にて第1位を受賞。本格的に国内外での演奏活動を広げる。
ベートーヴェンを核とした重厚なレパートリーに取り組む一方、邦人作品の初演でも作曲家より指名を受け携わる。
海外の音楽祭への招待には、上海音楽祭、ソウル国際音楽祭、ノアン・ショパンナイト(フランス)・アルソノーレ(オーストリア)がある。
東京藝術大学附属高校・東京藝術大学を首席で卒業し、同大学大学院(修士課程)修了。
山田千代子・御木本澄子、多 美智子、江口玲の各氏に師事。グラーツ国立音楽大学ポストグラデュエイト課程にて、マルクス・シルマー氏に師事。