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鐵 百合奈 狂気の優しさを幻想に見る ─シューベルトからシューマンへ─ <第3回>「包容と幻想」

2023年11月25日 [土]
開場17:30 開始18:00
渋谷美竹サロン

出演

プログラム

シューマン:クライスレリアーナ Op.16 
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第20番 D959 イ長調

チケット情報

※限定50席

当日、現地払いでお願いいたします。

4,000円(会員・指定席あり)
4,500円(一般・全席自由席)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com
光と闇、美しさと醜さ、革新と伝統──

シューマンは音楽作品のなかで、美しいもの以外も表現しようとした作曲家です。おそろしいもの、醜いものを描写しようとする試みは、当時において珍しかったと言えるでしょう。シューマンの暗い情熱や不気味な曲想は、美しく優しい旋律を切なく浮かび上がらせます。影があるから光が分かるように、醜によって美が際立っているのです。このように、シューマンの音楽は、美醜を包容しています。
シューベルトはどうでしょうか。シューベルトのピアノ・ソナタは、美しくもシンプルな響きや楽章構成はクラシカルですが、曲の細部に目を向けると、従来のソナタ形式に固執せず、自由な形式に挑戦していることが分かります。例えば《ピアノ・ソナタ第20番》の第1楽章では、短い動機を繰り返し使用することによって、独特の統一感と連続性を生み出しています。また、第2楽章では、愛らしい主題が登場し、穏やかな雰囲気を醸し出す反面、中間部は激しく即興的で、幻想曲風です。このように、シューベルトのピアノ・ソナタには従来のソナタ形式に縛られない柔軟性があり、新古を包容しています。
今回のタイトルは「包容と幻想」。シューマンの《クライスレリアーナ:ピアノのための幻想曲集》における美醜の包容と、文学と呼応して飛翔する幻想、シューベルトの《ピアノ・ソナタ第20番》の伝統と革新を内包する本質を表しています。この2曲は、“両極にあるものの包容”という本質が共通しています。その一方、表層的な表現方法…曲のパッケージとでも言えましょうか…は、対照的です。シューマンは複雑で小規模なピースを連ねることによって演奏時間の長い曲を構成し、シューベルトは平明で長大な楽章を古典的な四楽章に組み立てています。様々な角度から見る「包容と幻想」を、皆様と共に多元的に捉えることを試みたいと思っております。

(鐵 百合奈)


全シリーズ・プログラム一覧
第1回「追憶と幻想」 2022年9月17日(土) 18:00開演
シューマン:幻想曲 Op.17 ハ長調
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番「幻想」 D 894 ト長調

第2回「情熱と幻想」 2023年4月29日(土) 18:00開演
シューマン : 交響的練習曲 Op.13 (遺作入り)
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 D958 ハ短調

第3回「包容と幻想」 2023年11月25日(土) 18:00開演
シューマン:クライスレリアーナ Op.16 
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第20番 D959 イ長調


第4回「瞑想と幻想」 2024年6月15日(土) 18:00開演
シューマン:幻想小曲集 Op.12
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 D960 変ロ長調


プロフィール
鐵 百合奈(TETSU Yurina)Piano

2019年、N&FよりCDデビュー。2021年には2枚目のCD「シューマン」をリリースし、「レコード芸術」で準特選盤、毎日新聞や「音楽現代」などで特薦盤、推薦盤に選ばれる。
2019年よりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏シリーズを開催、NHKからドキュメンタリーが放映される。
多くのリサイタルを開くほか、読売日本交響楽団、東京交響楽団、広島交響楽団などオーケストラとの共演も多い。
第86回日本音楽コンクール第2位、岩谷賞(聴衆賞)、三宅賞。第4回高松国際ピアノコンクール審議員特別賞。第20回日本クラシック音楽コンクール高校の部第1位、グランプリ。第11回大阪国際音楽コンクール、第14回ローゼンストック国際ピアノコンクール、各第1位。 2015年、皇居内桃華楽堂において御前演奏を行う。2017年度香川県文化芸術新人賞受賞。
ヤマハ音楽振興会、よんでん文化振興財団、岩谷時子 Foundation for Youth、宗次エンジェル基金より、奨学金の助成を受ける。
学術面では、論文「『ソナタ形式』からの解放」で第4回柴田南雄音楽評論賞(本賞)を受賞、翌年「演奏の復権:『分析』から音楽を取り戻す」で第5回同本賞を連続受賞。
東京藝術大学附属音楽高等学校、同大、同修士課程、同博士後期課程を修了、論文「演奏解釈の流行と盛衰、繰り返される『読み直し』:18世紀から現在に至るベートーヴェン受容の変遷を踏まえて」で博士号を取得。2020年より桐朋学園大学院大学専任講師に就任。



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