多彩な音色、精緻な美、詩情に満ちた高貴な旋律──
後世に多くの影響を与えた2人の作曲家によるサロン音楽の愉しみ方を、
いま注目の田所光之マルセルが提唱する!
「心と指が完全に一致し、どんな音楽でも自在に操ることができる真の音楽家」(グラモフォン誌)
大好きなラヴェル作品を集めてのプログラムです。
ラヴェルの友人ガルバンによる編曲による弦楽四重奏曲のピアノ版
、そして傑作「夜のガスパール」ほかを。
サロンという空間ならではのプログラムをぜひお楽しみください。
(田所 マルセル)
今回は、
かねてより注目していた田所光之マルセル氏が初登場となる!
エリザベート王妃国際コンクール、
モントリオール国際音楽コンクール、 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールなど、
巨匠たちの登竜門ともいえる数々の名門コンクールで、
国際的に名を馳せてきた正真正銘の本格派だ。
美竹サロンでの演奏プログラムは、
歴史に耐えてきた珠玉の名曲はもちろんのこと、
それとは別に、
それぞれの演奏家が探究の末に発見した芸術の披露も上記に代えが
たい価値があるものと考えている。
メトネル、メシアン、
フランスバロック等々の作品による演奏会や、
長期のプロジェクトでいえば、演奏者の覚悟と、精神力・
体力を要するようなプロコフィエフやベートーヴェンのソナタ全曲
等々も開催してきた。
いずれの演奏会でも、演奏者の芸術的探究の“魂の爆発”
とでも言えるような瞬間を体験することができ、
これこそがサロンコンサートの醍醐味ではないだろうか、
という感慨を抱いたものである。
今回の田所光之マルセル氏の公演も、
注目に値すべき異彩を放ったプログラムとなっている。
アドルフ・フォン・ヘンゼルト(1814-1889)
ロマン派の最盛期である19世紀に生きたドイツの作曲家でピアノ
の名手だ。
近年、その功績が再評価されているそうだが、
知名度は決して高くはない。
しかし、
ロシアの音楽教育やフランス音楽に影響を与えたとされており、
クラシック音楽の歴史において、実は重要な人物だ。
ピアノの腕前では、かのフランツ・リスト(1811-1886)
が「ビロードの掌」と呼んで絶賛するほどで、セルゲイ・
ラフマニノフ(1873-1943)からも高く評価されていた。
ピアノの名手が手がけたエチュードといえば、
ショパンのエチュードが有名だが、
全体を通した統一感と音楽性の深さに共通点を感じられる。
ヘンゼルトのエチュードは、多彩な音色、精緻な美、
詩情に満ちた旋律が魅力的である。
ショパンのエチュード並に評価されても決して不思議ではないので
はないか…。
セット公演のもう一方の公演では、
ラヴェル弦楽四重奏曲のピアノ版がメインプログラムとなっている
。こちらもなかなか挑戦的な内容だ。
<プログラム>
ラヴェル:夜のガスパール
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調(ルシアン・ガルバン編ピアノ独奏版)
オリジナルの弦楽四重奏版では名盤も多く、
この作品のファンも多い。
ラヴェルの持つ独自の音楽性をどう表現すれば適切だろうか、「
まるで空気が変わるようだ」というけれど、温度や風向き、香り、
光が精巧に変化していくような美しさが、
この作品にはふんだんに描かれている。
クラシックを愛する人であればヘンゼルトほどマイナーではなく、
好意的に触れる機会の多いモーリス・ラヴェル(1875-
1937)だが、
フランス音楽に影響を与えたヘンゼルトとの組み合わせは実に興味
深い。
日仏のルーツを持つ田所氏、また、
曲の構造を巧みに把握する才能を持ち、
自身でも編曲を手がける才能のある彼だからこそ、
ぜひ聴いてみたい貴重な公演となっている。
(渋谷美竹サロン)