イベントを読み込み中

鐵百合奈ピアノリサイタル

2025年03月02日 [日]
開場14:30 開始15:00
渋谷美竹サロン

出演

鐵 百合奈(TETSU Yurina)Piano

2019年、N&FよりCDデビュー。同年よりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏シリーズを開催、NHKからドキュメンタリーが放映される。並行して録音を行い、2022年《ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲集上巻》(CD5枚組)、2023年に同下巻を発売、両巻とも「レコード芸術」で特選盤となる。
多くのリサイタルを開くほか、読売日本交響楽団、東京交響楽団、広島交響楽団などオーケストラとの共演も多い。
第86回日本音楽コンクール第2位、岩谷賞(聴衆賞)、三宅賞。第4回高松国際ピアノコンクール審議員特別賞。第20回日本クラシック音楽コンクール高校の部第1位、グランプリ。第11回大阪国際音楽コンクール、第14回ローゼンストック国際ピアノコンクール、各第1位。2015年、皇居内桃華楽堂において御前演奏を行う。2017年度香川県文化芸術新人賞受賞。
ヤマハ音楽振興会、よんでん文化振興財団、岩谷時子Foundation for Youth、宗次エンジェル基金より、奨学金の助成を受ける。
学術面では、論文「『ソナタ形式』からの解放」で第4回柴田南雄音楽評論賞(本賞)を受賞、翌年「演奏の復権:『分析』から音楽を取り戻す」で第5回同本賞を連続受賞。
東京藝術大学附属音楽高等学校、同大、同修士課程、同博士後期課程を修了、論文「演奏解釈の流行と盛衰、繰り返される『読み直し』:18世紀から現在に至るベートーヴェン受容の変遷を踏まえて」で博士号を取得。2020年〜23年、桐朋学園大学院大学専任講師。

プログラム

ペヤチェヴィチ:花の一生 Op.19より
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調Op.90
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101

ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」 変イ長調 Op.53
ショパン:ポロネーズ第7番「幻想」 変イ長調 Op.61

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

4,500円(一般・全席自由席)
4,000円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら
https://mitakesayaka.com/members/

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com

悲しみ、なぐさめ、希望、
美しい流れが生み出す物語、詩、そして哲学


百合奈の本気の演奏が聴きたい──ベートーヴェンのピアノソナタ(全曲)をはじめ、シューマンやシューベルトなど、
多くのピアノ作品をコンプリートしてきた彼女が、今、虚心に自分と向かいあい、
演奏したいと感じている作品とは、どんな曲なのか──

限られたレパートリーをどこまでも深掘りし、名演を生み出してきた指揮者や演奏家も多いが、
演奏家にとって、多くの作品に触れるということは、大きな意義を持つのだろう。
そんな演奏家が、初心に帰り、採り上げる作品には、どんなメッセージが含まれているのだろう。

そういった疑問を彼女に投げかけたところ、以下のプログラムが提案されてきた。

「改めて、美竹サロンで演奏したい」と彼女が語ったプログラムは、
物語の始まりに華を添えるような女性作曲家ペヤチェヴィチの《花の一生 Op.19》から始まるプログラムであった。
そして、ベートーヴェンのピアノソナタ第27番 Op.90と第28番 Op.101と続く。

氏がその第2楽章を「優しい歌」と表現するOp.90は、第1楽章とのコントラストが鮮やかで、
ベートーヴェン中期の特徴が際立った作品だ。
Op.101は後期の代表作ともいわれ、内省的かつ哲学的な音楽が、聴き手をベートーヴェンの精神的深みへと導く。

後期3大ソナタが注目されがちな中、これらの2曲は、ベートーヴェンの精神性と哲学が紡ぐ美しい流れが感じられる貴重な作品である。

後半は、ショパンの劇的な幻想曲ヘ短調 Op.49、さらにポロネーズ第6番「英雄」と第7番「幻想」である。

特に「幻想」ポロネーズは、彼女が昨年より“あたためてきた”という作品であり、彼女の思い入れが深い一曲だ。

今回も、プログラム全体が彼女らしい詩的な美しさと情感に満ちている。

百合奈の演奏には独特の魅力があるが、それは、彼女選ぶ作品には、以下の三つのキャラクターが内包しているからと感じられる。
一つ目は孤独感を湛えた男性、二つ目は自由に駆け回る子供、三つ目は包容力と懐かしさを感じさせる母性。
この多面的なキャラクターが、どの作品にも「百合奈風」ともいえる独自の色彩を与え、ファンの感性を捉えるのではないか。

最後に、氏からのメッセージを紹介したい。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番は、息子を喪った婦人を慰めるためにベートーヴェンが弾いたと伝えられる曲です。前半はこの第28番を中心に、美しい花々と、優しい歌の第27番で包みました。
後半は重い足取りで始まる幻想曲と、華やかなようでいて孤独と悲哀を感じさせる英雄ポロネーズ、そして幻想曲ポロネーズ…。幻想ポロネーズは、祈りのようなコラール、感情の吐露を経て、最後は力強く終わり、生きる希望や決意が感じられます。
この度もこの美竹サロンの空間で、心の深奥を皆様と共有できましたら幸いです。( 百合奈)