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坪井夏美&大崎由貴 ベートーヴェン&シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのデュオ作品全曲演奏会《第4回》

2025年03月28日 [金]
開場18:30 開始19:00
渋谷美竹サロン

出演

ヴァイオリン坪井 夏美
坪井 夏美(TSUBOI Natsumi)Violin
12回東京音楽コンクール第1位及び聴衆賞、マイケル・ヒル国際コンクール第4位、フリッツ・クライスラー国際コンクール第5位、第81回日本音楽コンクール第3位受賞。 ソリストとして読響、都響、新日本フィル、日本フィル、東響、九響、東京フィルなど多数のオーケストラと共演。 東京芸術大学附属高校、同大学、同大学院修士課程を修了。在学時に安宅賞、アカンサス賞、大学院アカンサス賞を受賞し、大学卒業時に皇居内御前演奏会に出演。 明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生としてウィーン私立音楽芸術大学修士課程を修了。青山財団2013奨学生、2014年度ヤマハ音楽奨学生、2015年、2016年ロームミュージックファンデーション奨学生、江副記念財団第44回奨学生。 Chanel Pygmalion Days 2018 アーティスト。 NHK東京FM 「リサイタル・ノヴァ」、NHK Eテレ「らららクラシック」、宮崎国際音楽祭等に出演。 これまでに、原田幸一郎、清水涼子、神谷美千子、漆原朝子、ピエール・アモイヤル、堀正文、パヴェル・ヴェルニコフ、樫本大進の各氏に師事。 2019年から2024年まで東京フィルハーモニー交響楽団第1vnフォアシュピーラーを務める。2021年4月から2023年3月までベルリンフィルハーモニー管弦楽団・カラヤンアカデミーに在籍し、同管弦楽団の公演に100公演以上出演。

大崎 由貴(OSAKI Yuki)Piano
広島市出身。
第18回東京音楽コンクールピアノ部門第2位(最高位)。
ピアニストのイーヴォ・ポゴレリチ氏が審査員長を務める第4回マンハッタン国際音楽コンクールにて、特別金賞を受賞。
第5回アルコバッサ国際室内楽コンクール(ポルトガル)最高位、併せてポルトガル作品賞受賞。アルコバッサ国際音楽祭に招待され、ピアノデュオでリサイタルを行う。
ソリストとして、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、群馬交響楽団、大阪交響楽団、広島交響楽団と共演を重ねる他、多数のリサイタルや演奏会に出演。
作曲家アレクサンダー・ローゼンブラット氏より新曲初演の依頼を受け、「Jazzy Nutcracker Suite-Fantasy」を初演録音しオンラインコンサートで配信。好評を博し、Schott社より楽譜が出版される。
広島大学附属高等学校卒業。東京藝術大学音楽学部をアカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を受賞し卒業。
令和2年度文化庁新進芸術家海外研修員として、ザルツブルク・モーツァルテウム大学修士課程を満場一致の最高点で首席卒業後、同大学ポストグラデュエート課程修了。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、愛知県立芸術大学ピアノコースにて非常勤講師を務める。  Official website : https://www.yukiosakipianist.com

プログラム

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op12-2
シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 D.385
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op.47 『クロイツェル』

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

5,000円(一般・全席自由席)
4,500円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら
https://mitakesayaka.com/members/

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com

第9番『クロイツェル』ソナタとともに巡る
室内楽でのみ露わになる作曲家の内奥──


 ベートーヴェン、シューベルトというと、やはりオーケストラ作品が聴きたくなるクラシックファンも多いだろう。
しかし、サロンで聴く室内楽の生演奏によってこそ、壮麗で豊富な音によって包み隠されるオーケストラ作品の背後に潜む、作曲家の内奥の“動機・想い”が露わにみえることが多いのだ。
これが、オーケストラでは味わえない、室内楽独自の至福の醍醐味の秘密であろう。
シューベルトやベートーヴェンの心の内奥にあった“創作動機、想い”、それらは豊富で壮麗な音によって構築されるオーケストラ作品に完結されているはずなのだが、その源、原点を、新鮮に、生々しく、剥き出しのまま味わうことができる――それが何にも代えがたい室内楽の魅力の秘密であろう。そんなことを強く感じさせてくれる演奏が、坪井夏美&大崎由貴デュオが取り組む「ベートーヴェン&シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのデュオ作品全曲演奏会」だった。
事前インタビューでは、「ベートーヴェンの作品には矛盾があり、人間らしさや温かさを感じられる。
旅人のように進むシューベルトの音楽には彼らの本質が現れているようだ」と、独自の解釈を展開した。
説得力のある演奏に、何か巨匠たちの真髄に触れられたような気がした。
演奏家が「全曲に取り組む」というのは、よほどの覚悟と、思い入れがなければスタートすることはできない。
《第1回》では、彼女たちの紡ぎ出す音楽からそんな熱量が聴き手に伝わり、このシリーズへの期待がますます膨らんだことだろう。
《第2回》では、「スプリングソナタ」をはじめ、シューベルトの豊かな表現力とダイナミックな展開が聴き所のシューベルトの「華麗なロンド」など、濃淡のある内容に充実した音楽の時間を愉しんだ。
《第3回》では、ベートーヴェンとシューベルトに加え、二人が愛してやまないブラームスの「雨の歌」を取り上げ、ロマン派ソナタの系譜を辿る美しいプログラムに、ため息が出るほど心が満たされた。

坪井夏美氏は2023年3月までベルリンフィルハーモニー管弦楽団・カラヤンアカデミーに在籍し、同管弦楽団の公演に100公演以上出演し、東京フィルハーモニー交響楽団第1vnフォアシュピーラーを経て、将来を期待されているヴァイオリニストだ。
室内楽からオペラまで幅広いジャンルのクラシック音楽を愛する彼女の演奏は、視野の広さ、知的さ、抜群のバランス感覚を備えている。
音色は輪郭のはっきりとしたもので曖昧なところがなく、粋なセンスも感じられる。

大崎由貴氏は、第18回東京音楽コンクールピアノ部門第2位(最高位)、イーヴォ・ポゴレリチ氏が審査員長を務める第4回マンハッタン国際音楽コクールにて、特別金賞を受賞し、ソリストとして東響、東京フィル、新日フィル等、多くのオーケストラとの共演の実績を積み、注目を集めている。
彼女のピアノは、大自然の中から湧き上がるような和音の美しさ、包み込むような響きの豊かさが印象的だ。波が寄せては引くようなレンジの広さ、躍動感溢れるダイナミックさは、オーケストラの音響を彷彿とさせる。

坪井氏とは藝大の同期から始まり、留学先での偶然の再会をきっかけに、本格的なデュオでの取り組みに挑戦することになったそうだ。
音楽に生命を吹き込むように、同じビジョンで音楽が進んでいくので、耳に心地よく、かつセンスの良い音楽が実に心地よい。
また時折、それぞれの個性がピリッと対話する様子も面白い。

今回の《第4回》では、ベートーヴェンの初期と円熟期の輝きと、シューベルトの叙情美が見事に配置されている。
特に「クロイツェルソナタ」の持つ劇的で荘厳な響きは、聴衆を一気に音楽の渦へと引き込み、激情、哀愁、輝きの物語を紡ぎ出すことだろう。

そして次回はいよいよ最終回《第5回》。
シリーズがどのような終結を迎えるのか──その瞬間が待ち遠しい。
(渋谷美竹サロン)