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坪井夏美&大崎由貴 ベートーヴェン&シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのデュオ作品全曲演奏会《第5回》

2025年08月30日 [土]
開場17:30 開始18:00
渋谷美竹サロン

出演

ヴァイオリン坪井 夏美
坪井 夏美(TSUBOI Natsumi)Violin
12回東京音楽コンクール第1位及び聴衆賞、マイケル・ヒル国際コンクール第4位、フリッツ・クライスラー国際コンクール第5位、第81回日本音楽コンクール第3位受賞。 ソリストとして読響、都響、新日本フィル、日本フィル、東響、九響、東京フィルなど多数のオーケストラと共演。 東京芸術大学附属高校、同大学、同大学院修士課程を修了。在学時に安宅賞、アカンサス賞、大学院アカンサス賞を受賞し、大学卒業時に皇居内御前演奏会に出演。 明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生としてウィーン私立音楽芸術大学修士課程を修了。青山財団2013奨学生、2014年度ヤマハ音楽奨学生、2015年、2016年ロームミュージックファンデーション奨学生、江副記念財団第44回奨学生。 Chanel Pygmalion Days 2018 アーティスト。 NHK東京FM 「リサイタル・ノヴァ」、NHK Eテレ「らららクラシック」、宮崎国際音楽祭等に出演。 これまでに、原田幸一郎、清水涼子、神谷美千子、漆原朝子、ピエール・アモイヤル、堀正文、パヴェル・ヴェルニコフ、樫本大進の各氏に師事。 2021年4月から2023年3月までベルリンフィルハーモニー管弦楽団・カラヤンアカデミーに在籍し、同管弦楽団の公演に100公演以上出演。
現在、東京フィルハーモニー交響楽団アシスタントコンサートマスター。

 

大崎 由貴(OSAKI Yuki)Piano
広島市出身。
第18回東京音楽コンクールピアノ部門第2位(最高位)。
ピアニストのイーヴォ・ポゴレリチ氏が審査員長を務める第4回マンハッタン国際音楽コンクールにて、特別金賞を受賞。
第5回アルコバッサ国際室内楽コンクール(ポルトガル)最高位、併せてポルトガル作品賞受賞。アルコバッサ国際音楽祭に招待され、ピアノデュオでリサイタルを行う。
ソリストとして、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、群馬交響楽団、大阪交響楽団、広島交響楽団と共演を重ねる他、多数のリサイタルや演奏会に出演。
作曲家アレクサンダー・ローゼンブラット氏より新曲初演の依頼を受け、「Jazzy Nutcracker Suite-Fantasy」を初演録音しオンラインコンサートで配信。好評を博し、Schott社より楽譜が出版される。
広島大学附属高等学校卒業。東京藝術大学音楽学部をアカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を受賞し卒業。
令和2年度文化庁新進芸術家海外研修員として、ザルツブルク・モーツァルテウム大学修士課程を満場一致の最高点で首席卒業後、同大学ポストグラデュエート課程修了。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、愛知県立芸術大学ピアノコースにて非常勤講師を務める。  Official website : https://www.yukiosakipianist.com

プログラム

ベートーヴェン : ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調 Op.30-1
ベートーヴェン : ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調 Op.96
シューベルト : ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調 D.934

 

インタビュー記事はこちらから

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

5,000円(一般・全席自由席)
4,500円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら
https://mitakesayaka.com/members/

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com

シリーズ完結。
ベートーヴェンとシューベルトをめぐる旅、感動の最終回へ


「シリーズものは、回を重ねるごとに深まる、良くなっていく」といった言葉をよく耳にする。
もちろん、演奏が回を重ねるたびに “こなれていく” という意味ではない。
むしろ、現場はもっと生々しく、そして切実なものだ。
予定調和を超えて、演奏が生々しく “剥き出し” になる瞬間にこそ、音楽の真実が立ち上がる。
美しさは、常にどこかに危うさを孕んでいる。
特にこのサロンのような親密な空間では、演奏者と聴き手とのあいだに「ごまかしのきかない空気」がたしかに存在する。
本シリーズも例外ではなく、ときにぶつかり合い、思うようにいかない場面もあったかもしれない。
しかし、その過程こそが、“シリーズに取り組む” ということの重みであり、切実な姿ではないだろうか。
きれいごとだけでは、音楽は伝わらないのだ。坪井夏美と大崎由貴。
“Duo Lapis(デュオ・ラピス)”と名付けられたこのデュオの音楽には、安易な感情の投影も、技巧の誇示もない。
あるのは、作品の精神に真摯に向き合おうとする、ひたむきな意志。
ラピスラズリ(アフガニスタン産の紫色みのある深い青、瑠璃色と称される貴石)のように、静かに、しかし、輝きを放つこのデュオの個性は、常に“真実”を追求する姿勢に裏打ちされている。
リハーサルごとに異なる空気感の中で交わされる真剣な対話。
ときに、違った主張をしあいながらも、ひとつの音楽を創りあげようとするその過程から、音楽づくりの難しさと誠実さが自然とにじみ出ている。

坪井夏美氏は、2023年3月までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン・アカデミーに在籍し、同団公演に100回以上出演。
東京フィルハーモニー交響楽団第1ヴァイオリン・フォアシュピーラーを経て、いま最も注目されるヴァイオリニストのひとりである。
室内楽からオペラまで幅広いレパートリーをもち、その演奏には知性と広い視野、そして抜
群のバランス感覚が宿る。
音色は明確な輪郭をもち、曖昧さを排した芯の強さと、磨かれたセンスが光る。
“オーケストラの耳” をもつ彼女ならではの、ハッとさせられる解釈もまた魅力となっている。

ピアニストの大崎由貴氏は、第18回東京音楽コンクールピアノ部門第2位(最高位)、第4回マンハッタン国際音楽コンクールにて特別金賞受賞。
東響、東京フィル、新日フィルなど、国内主要オーケストラとの共演も数多く、ソリストとしても高く評価されている。
彼女のピアノは、大自然の中から湧き上がるような和音の豊かさ、包み込むような音色が印象的だ。
波が寄せては返すようなレンジの広さと、躍動感あふれるダイナミズムは、まさにオーケストラ的な響きを感じさせる。
藝大での同期という関係性、そして留学先での再会が、ふたりの本格的なデュオ活動の原点となった。

同じビジョンを共有しながら音楽に生命を吹き込むふたりの音は、心地よく、そして洗練されたセンスをもちながらも、鋭さと、熱い対話が漂っている。
互いの個性がときにピリッと交差し、響き合う様子もまた、このデュオの大きな魅力だ。

《ベートーヴェン&シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのデュオ作品全曲演奏会》。
このシリーズは、サロンという親密な空間で繰り広げられる、“室内楽における壮大な対話の旅”だったように思える。
克己と闘志を内に抱えた人間味あふれる作曲家、ベートーヴェン。
そして、その精神を継ぎながら、さらに先の時代へと橋を架けた“孤独な旅人”シューベルト。
ふたりの作曲家によるヴァイオリン作品をすべて取り上げることで、演奏者にとっても、聴き手にとっても、確かに“何かが見えてくる”旅になったはずだ。

いよいよ迎えるシリーズ完結《第5回》。
プログラムには、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第6番(Op.30-1)と第10番(Op.96)、
そしてシューベルト晩年の傑作《幻想曲 ハ長調 D.934》が並ぶ。
第6番では、若きベートーヴェンの情熱と端正な形式美が光り、この時期のソナタ群に顕著な“室内楽的精神”の成熟がうかがえる。
第10番は、ベートーヴェンが晩年にたどり着いた静けさと透明感に満ちた世界。
劇的な起伏や緊張感を避けながら、音楽そのものが自然体で流れていく。
まるで時空を超えた精神の領域に、そっと触れるような作品である。
そして、シューベルトが最晩年に“到達”したともいえる《幻想曲》。
夢と現実、歌と祈り、孤独と解放。
極めて親密な二重奏の形式のなかで、そうした対極の感情がしなやかに織り込まれ、全体を貫くのは、生の儚さと、その先にある“永遠”への憧憬だ。
本プログラムは、まさにシリーズの掉尾を飾るにふさわしいスケールと深みを備えているといえるのではないか。
そしてそれは、 “Duo Lapis(デュオ・ラピス)”  の誕生、成長、成熟、深化の証であり、
今回の“旅の帰着”ではあるが、さらなる新たな地平へと開かれていく──その瞬間となるだろう。(渋谷美竹サロン)