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山縣美季ピアノリサイタル

2025年08月10日 [日]
開場17:30 開始18:00
渋谷美竹サロン

出演

山縣 美季(YAMAGATA Miki) Piano
2002年鎌倉市出身。第89回日本音楽コンクールピアノ部門第1位。第44回ピティナ・ピアノコンペティション特級ファイナル入選。かながわ音楽コンクールでユースピアノ部門とピアノ部門の両方でコンクール史上初の同年二冠を果たす。これまで、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団などと共演。
第7期東京藝術大学宗次德二特待奨学生。 2022年シャネル・ピグマリオン・デイズ参加アーティスト。2022、2023年度ロームミュージックファンデーション奨学生。2023年度青山音楽財団奨学生。
東京藝術大学卒業後、パリ国立高等音楽・舞踊学校第2課程ピアノ科に在籍中。Hortense CARTIER-BRESSON、Fernando ROSSANO、東誠三、日比谷友妃子の各氏に師事。

プログラム

ショパン:
バラード第4番 ヘ短調 Op.52
ポロネーズ第6番 「英雄」 変イ長調 Op.53
24のプレリュードOp.28


※やむを得ない事情により日時・プログラム等の変更、中止等がある場合がございます

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

5,000円(一般・全席自由席)
4,500円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com
第19回ショパン国際ピアノコンクール
本大会出場が決定!
「東洋の奇跡」を彷彿とさせる──
山縣美季、ショパンを奏でる。

山縣美季さんを初めて拝見したとき、ふと「東洋の奇跡」と讃えられた田中希代子や原智恵子といった、20世紀初頭に活躍した日本人女性ピアニストたちの姿が脳裏をよぎった。
田中希代子の音源はいまも血眼になって探すクラシックファンが少なくないが、それだけの魅力が、確かに彼女には備わっていたのだろう。
当時、ショパン国際ピアノコンクールにおいて、東洋人に対する偏見が根強かった時代に、田中は日本人として初の入賞(第10位)を果たした。
審査員の一人であった伝説的ピアニスト、アルトゥール・ベネディッティ・ミケランジェリは、この結果に異論を唱え、激怒して退場したという逸話が、今も語り継がれている。
田中希代子は、日本人ピアニストが国際的に認められる“夜明け”を告げた稀有な存在であり、皇后陛下にも愛された、まさに戦後日本の「夜明けのピアニスト」だった。

なぜ、山縣さんにかつての日本人女性ピアニストの面影を重ねたのか──
最初はその理由をうまく言葉にできなかったが、彼女の演奏を何度か聴くうちに、少しずつその答えが見えてきた。
日本人らしい品格を湛えながらも、音の骨格はしっかりとし、輝きとともに豊かなスケール感を感じさせる。
そしてなにより、一音一音に確かな説得力が宿っており、それらは耳ではなく、心の深層に直接触れてくるような印象を与えるのだ。

現在、彼女は名門・パリ国立高等音楽院で研鑽を積んでいる。
「芸術家はフランスで磨かれる」とはよく言われるが、ショパン自身がその足跡を残した地で、彼女は今、音楽家としての“進化”の真っ只中にある。
そして、国際的な舞台で輝くにふさわしい資質と個性を、たしかに備えている。

4年前の、2021年のショパン国際ピアノコンクールでは、惜しくも予備予選での敗退という結果となった。
このときの演奏も十分に高い完成度を誇っていたが、2025年の予備予選では、彼女の中に明確な音楽的深化が感じられた。
アゴーギクの扱いや、フレーズ内の呼吸の精緻さが格段に磨かれ、そこには“ショパンの品格”とでも呼ぶべき、深い詩情と構成感が立ち現れていた。
とりわけ、暗さや寂しさ、そして深いメランコリーといった内面的な感情の表現は見事で、彼女が葛藤を抱えながら、音楽と真摯に向き合ってきた時間が、音に刻み込まれていた。

多くは語らずともよい。
まずは、彼女のショパンを聴いてほしい。