世界の巨匠が驚いた才能!
ロシアの大地で育った逸材、奥井紫麻。
奥井紫麻氏は、現在チャイコフスキー記念ロシア国立モスクワ音楽院付属中央音楽学校からグネーシン特別音楽学校で研鑽を積む弱冠17歳。
7歳より故エレーナ・アシュケナージに師事し、8歳でオーケストラと初めて共演し、12歳で世界的指揮者ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団にデビューと、この経歴だけで只者ではないことが明らかだが、その演奏に触れれば、彼女がいかに大器を持ち合わせているかがわかるだろう。
まだ17歳の彼女だか、どこか芯の通ったしっかりとした雰囲気を持ち、演奏家としての"華"もすでに持ち合わせている。
最初の一音から最後の一音まで一貫しているとでもいうのだろうか、生み出される深い音響と、スケールの大きい"うた"に惹き込まれる。目を瞑って聴いていたら、それが細身の少女から生みだされる音楽だと、誰が想像できるだろうか。さらに、聴衆が今この瞬間、ここで感じたいと思う"呼吸"や"和音"、これらがぴったりと一致するのが、実に気持ちが良い。そうしたソノリティの変化を感じながら、彼女独自の音楽の流れを突き進めることができる演奏スタイルをすでに習得しているのであるから、相当鍛錬を積んできたのではないだろうかと想像する。
若くして演奏家として成功してしまうと、芸術的な成熟度と人格の成熟度との間にギャップがあるためか、スランプに陥ることも少なくないと言われている。しかし、彼女はこれほどの才能を持ちながらも、その"才能"に弄ばれるようなことはなく、しっかりと地に足が着いた弛まぬ努力を続けているようである。
純粋な音楽に対する探究心のゆえだろうか、底知れぬ深い音楽を秘めたロシアという大地に育まれてきたからなのであろうか、純真無垢でストイックさのまったく感じられない不思議な魅力をその全身から放っているようだ。天賦の才を神から授かっている者のみに自然にそなわっている謙虚さも彼女自身から、また彼女の演奏からもうかがえるのではないだろうか。
そして、今回のプログラムでは"奥井紫麻の才能"を感じられる内容となっている。
荘厳な雰囲気漂うメンデルスゾーンの6つの前奏曲とフーガ 第1番 Op. 35-1からはじまり、続く謝肉祭 Op. 9では夢想家であったシューマンらしさが滲み出るようなユニークな作品となっている。
後半はなんとスケルツォ4曲を全曲演奏。ショパンの構成美を、きっと彼女の感性、歌心、技術の全てに恵まれた才能によって表されることでしょう。
(美竹清花さろん)
プロフィール
奥井 紫麻(OKUI Shio)Piano
感性、歌心、技術の全てに恵まれた稀有な存在。2004年5月生まれ。5歳半でピアノを始め、7歳より故エレーナ・アシュケナージに師事。8歳でオーケストラと初共演し、12歳でゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団と共演。10歳よりスピヴァコフと世界各国で共演を重ね、2019年10月にはモスクワ・ヴィルトゥオージ室内管弦楽団のヨーロッパ・ツアーのソリストに起用され、15歳でベルリン・フィルハーモニー、ウィーン・ムジークフェライン、プラハ・スメタナホール、ハンブルク・エルプフィルハーモニーを始めとするヨーロッパの著名ホールにデビュー。9歳から世界各国での音楽祭に招かれ、マリインスキー劇場、Fondation Louis Vuitto、マドリード国立音楽堂等で演奏。各地のオーケストラとも多数共演し、これまでにロシア・ナショナル管弦楽団(ミハイル・プレトニョフ指揮)、ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団(ウラディーミル・スピヴァコフ指揮)、ウクライナ国立交響楽団(ミコラ・ジャジューラ指揮)他、日本では読売日本交響楽団(広上淳一指揮)、東京交響楽団(秋山和慶指揮)等と共演。
モスクワ音楽院付属中央音楽学校を経て2018年よりグネーシン特別音楽学校でタチアナ・ゼリクマンに師事。2019年12月、国立アレクサンドル・スクリャービン記念博物館より2019年度の「スクリャービン奨学生」に選ばれる。2016年モスクワ国際グランドピアノコンクール最年少受賞、2015年第1回クライネフ・ モスクワ国際ピアノコンクールジュニア部門最年少第1位、2013年第14回ロシア国営文化テレビ主催「若い音楽家のための国際TVコンテスト “くるみ割り人形” 」ピアノ部門第2位及び全部門総合聴衆賞ほか数々の賞を受賞。ウラディーミル・スピヴァコフ国際慈善基金奨学生。2021年4月にモスクワのボリショイ劇場で行われた第3回プロフェッショナル音楽賞”BraVo”では”The Most Popular Classical Artist from the Partner Country”を受賞している。