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鈴木舞&大萩康司デュオリサイタル

2025年09月19日 [金]
開場18:30 開始19:00
渋谷美竹サロン

出演

ヴァイオリン鈴木 舞
鈴木 舞(SUZUKI Mai)Violin
東京藝大附属高校、同大学卒業。スイス、オーストリア、ドイツにて研鑽を積み、ディプロマ、ドイツ国家演奏家資格を取得。
ヴァーツラフ・フムル国際ヴァイオリンコンクール(クロアチア)第1位、オルフェウス室内楽コンクール(スイス)第1位他、多くの国際コンクールで優勝、入賞を重ね、ソリストとして欧州、アジア、南米等でツアーを行う等、世界各地でリサイタルやオーケストラに招かれる。
国内では、宮内庁主催皇居桃華楽堂での御前演奏会に出演、シャネル・ピグマリオン・デイズ・アーティストに選出された他、サントリーホール、王子ホール等の主要なホールで公演を重ねている。
これまでに、ヨルマ・パヌラ、イヴァン・レプシッチ、ニコラス・ミルトン等の指揮で、スイス・ローザンヌ室内管、フィンランド・クオピオ響、ドイツ・ホーフ響、チェコ・モラヴィアフィル、読売日響、東響、日本フィル等と協奏曲を共演している。
キングレコードよりデビューCD「Mai favorite」がリリース。日経ミュージックセレクションCDでは東響とベートーヴェン、マスネを収録した。 2025年3月にセカンドCD「翼」をリリース。使用楽器は株式会社atsumariを通じて貸与されている1682年製 Nicolo Amati “Grand Amati”

大萩 康司(OHAGI Yasuji)Guitar
パリのエコール・ノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院で学ぶ。1998年ハバナ国際ギター・コンクール第2位、審査員特別賞受賞。その後4年間イタリアのキジアーナ音楽院でオスカー・ギリアに師事し、4年連続最優秀ディプロマを取得。2003年ワシントン·ケネディ·センター初公演でインターネット全世界同時配信、2005年キューバ音楽見本市「CUBADISCO 2005」に邦人クラシック·ギタリストとして初出演、2010年国際交流基金によるカナダ5都市ツアー、2014年モスクワ、台湾、コロンビアでの国際ギターフェスティバル、日・玖国交400年記念事業公演、2015年セイジ・オザワ松本フェスティバル、霧島国際音楽祭、ラ・フォル・ジュルネへの出演等、国内外で活動を展開。2000年デビュー以来20枚を超えるCD、2枚のDVDをリリース。ヴィラ=ロボス作品集「メロディア・センチメンタル」は「レコード芸術」紙上でのアカデミー賞で一位を受賞。最新アルバムはチェロ奏者、宮田大との2ndアルバムとなる「Atelier」。第6回ホテルオークラ音楽賞、第18回出光音楽賞受賞。洗足学園音楽大学、大阪音楽大学各客員教授。

プログラム

パガニーニ : 協奏的ソナタ Op.61より
ピアソラ : タンゴの歴史 (ヴァイオリンとギター版)
バルトーク : ルーマニア民俗舞曲 (A.レヴァリング編、大萩康司編)
加藤昌則 : ケルト・スピリット

※やむを得ない事情によりプログラムの変更等がある場合があります。

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

5,000円(一般・全席自由席)
4,500円(会員・指定席あり)
2,500円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら
https://mitakesayaka.com/members/

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催渋谷美竹サロン/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com

パガニーニからピアソラ、そしてケルトの彼方へ──
異国情緒の香り漂う、ヴァイオリンとギターの音世界。


ヴァイオリンとギター。
なんとも洒落た、そして少し挑戦的な組み合わせである。ヴァイオリニスト・鈴木舞とギタリスト・大萩康司の記念すべき初共演が、美竹の空間に響き渡る。
ふたりが繰り広げるデュオの世界には、知性と情熱、そしてある種の「粋」がある。
大萩康司は、20歳の若さで世界最高峰とされるハバナ国際ギター・コンクール第2位という華々しいスタートを切り、一躍注目を集めた。
以来、独自の感性と高い音楽性で“クラシック・ギターの顔”として走り続けている。
2000年に『11月のある日』でCDデビューして以降、クラシックギターのソロ作品から室内楽、現代音楽、さらにはジャンルを越えたコラボレーションまで、幅広いレパートリーを展開してきた。
これまでに20枚を超えるCDと2枚のDVDをリリースしており、その活躍ぶりはまさに実績として明確に示されている。
その音は、凛としていて、しなやかで、いつも余韻に物語がある──ジャンルを超えて、国内外で熱狂的な支持を集めるギタリストである。共演するのは、美竹ではお馴染みのヴァイオリニスト・鈴木舞。
まっすぐで潔い音、芯の強さと繊細さが同居した演奏家である。
彼女の強さは、単に音が力強いということではなく、その背後に「なぜこれを語るのか」という確かな理由を携えた思考の深さと、表現に対する責任感に裏打ちされている。
そして彼女の選ぶ共演者には、常に審美眼が光っている。
今回、その「目利きの舞さん」が選んだのが大萩康司であるというだけで、もう聴く価値は十分にある。

選ばれた作品もまた、旅のようである。

まずプログラムの幕を開けるのは、あのパガニーニ。
ヴァイオリンの名手として知られる彼だが、実はギターという楽器を深く愛していたことは、多くの文献にも記されている。
ヴァイオリンとギターのために書かれた《デュオ・コンチェルタンテ》には、まるで貴族のサロンで交わされるウィットに富んだ会話のような魅力がある。
技巧的な見せ場に満ちていながら、音楽が生きた会話のように躍動し、どこか秘密めいていてチャーミング。
ふたりの演奏が、あの“間”の妙をどのように操るのか、興味が尽きない。

そこから南米へと飛ぶ。ピアソラの《タンゴの歴史》。
これは、単なる「タンゴ名曲集」ではない。
タンゴが街角の音楽から芸術音楽へと昇華していく過程を、物語として描いた作品である。
ギターとヴァイオリンという編成が、その語りにこのうえないリアリティを与える。
鈴木のヴァイオリンが、時に男性のように力強く、時に女性のように艶やかに語りかけ、大萩のギターがそれを深く支えながら、ふいに“あの空気”を運んでくる──ブエノスアイレスの黄昏に漂う、情熱と哀愁の混じった空気を。

バルトークの《ルーマニア民俗舞曲》は、民謡の旋律がもつ呪術的な力を、短い時間のなかに凝縮させた名品である。
これは音楽というより、もはや“現地の空気”そのもの。
バルトークは録音機を担いで農村に赴き、暮らす人々の歌を採集・記録した。
彼の楽譜には、土地の声がそのまま息づいている。
その旋律は、整ってなどいない。
ねじれ、きしみ、土と汗の匂いがする。

最後に演奏されるのは、加藤昌則の《ケルト・スピリット》。
現代の作曲家が、ケルトという遥かな記憶のような文化を、どのように音にするのか。
この作品には、日本人の“遠い郷愁”のようなものが宿っていると感じる。
そしてそれを紡ぐのが、鈴木という芯のある詩人のようなヴァイオリニストと、大萩という品格ある語り部のようなギタリストなのだから、期待せずにはいられない。

異国情緒──
それは他者の文化を眺める言葉であると同時に、自分の内部にまだ知らぬ「異郷」を見出すことでもある。
世界各地の音楽が、鈴木舞と大萩康司の手によって、時空を越え、美しく呼吸しはじめる。
クラシックファンはもちろん、普段あまり生演奏を聴かれない方にも自信をもっておすすめできる音楽の旅。

今夜、聴く者をそれぞれの「遠く」へと連れ出してくれるだろう。(渋谷美竹サロン)