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入川 舜 バッハを辿る Vol.6

2022年06月11日 [土]
開場14:30 開始15:00
渋谷美竹サロン

出演

ピアノ入川 舜

プログラム

J.S.バッハ:パルティータ第4番 BWV 828 ニ長調
武満 徹:閉じた眼
メシアン:8つの前奏曲より「苦悩の鐘と告別の涙」

武満 徹:遮られない休息
ラヴェル:クープランの墓

※プログラム等は、やむを得ない事情により、 変更になる場合がございます

チケット情報

当日、現地払いでお願いいたします。

4,000円(一般・全席自由席)
3,500円(会員・指定席あり)
2,000円(学生・全席自由席)

※会員のご紹介はこちら

★8Fラウンジにてウェルカムドリンクとお茶菓子をご用意しております。

お問い合わせ先

主催美竹清花さろん/株式会社ILA
03-6452-6711
070-2168-8484
info@mitakesayaka.com
バッハと現代、永遠なる追悼

入川氏のバッハを辿るシリーズも今回で6回目を迎える。
今までの軌跡を辿ってみよう。


バッハを辿るVol.1 〜バッハの原点、コラールの秘密に迫る〜
バッハを辿るVol.2 〜鍵盤楽器の”旧約聖書”平均律クラヴィーア曲集〜
バッハを辿るVol.3 〜ポリフォニーとホモフォニー〜
バッハを辿るvol.4 〜F.ジェフスキー「不屈の民」変奏曲〜
バッハを辿るVol.5 〜舞曲〜


バッハの作品が中心ではあるが、第3回や第4回ではバッハ以後の作曲家たちによる「音楽の父」への憧憬が描かれた作品も取り上げられ、バッハの影響力の偉大さを目の当たりにした。
入川氏から興味深い話を伺うことができた。
ジャンルは異なるが、ビル・エヴァンス氏やキース・ジャレット氏といった大物ジャズピアニストたちは、バッハをよく練習したという。
バッハはクラシック音楽のジャンルのみならず、すべての音楽の原点となっていることがわかる。
そんなことから、実は入川氏も音楽への入り口はジャズだったそうである。
いわゆるショパンなどのロマンチックな音楽から入ったわけではなく、ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチといった、響きが衝撃的な作品が不思議とはじめから自然にフィットしたそうである。
なるほど、あの難解なバッハや現代音楽を得意とする入川氏の響きに対するセンスは、生まれつき与えられていたギフトなのだろう。

このたび、シリーズ第6回目となるが、「バッハと現代音楽、永遠なる追悼」というテーマでプログラムが組まれた。
混迷の現代に、このテーマでバッハに関連する音楽に触れる意義には、間違いなく深いものがあるのだろう。

フェイク情報も氾濫している“情報の洪水”に囲まれて生きている私たちは、自分自身の立脚点すら見失いがちになってしまう。
時として、言葉はノイズとなるが、音楽は言葉を超え、聴き手に特定の価値観を強いることなく、個々の創造力を膨らませてくれる。
言葉による情報の洪水に翻弄されている現代だからこそ、言葉を超えた音楽の世界からのメッセージが求められているのではないだろうか。

さて、“バッハによる永遠なる追悼”に想いを寄せたバッハに続く作曲家たちの作品に、あなたはどんな想いを感じるだろうか?

今回のテーマについて、入川氏よりメッセージをいただいたので、紹介しよう。


バッハの音楽のカタログでは、個人的な“追悼”という色彩が滲み出た作品はそれほど多くないように思われる。例えば、バッハの前妻マリア・バルバラが亡くなった頃、バッハの生み出した音楽には苦悩がより押し出されてきた、という傾向はあったとしても、「~を悼んで」という名目のもと作曲された作品は、クラヴィーアの作品を見てもすぐには思いつかない。
時は進み、20世紀になると、個人的な追悼のために作曲された音楽がかなりの程度で散見されるようになる。
その最も知られたピアノ作品は、ラヴェルの「クープランの墓」だろう。6曲の古典舞曲が連なる組曲のスタイルで、1曲ずつが第一次世界大戦で戦死したラヴェルの友人たちに捧げられている。
すでにこの世にいない人のために音楽があるというのは、気高い精神であり、またロマンチックといえるのかもしれないが、音楽というものは案外そうしたものが本質であるのかもしれない。
武満徹も、作曲するのは何かに対する“悼み”のためだ、というようなことを発言していたから、あの甘美な音楽にはかなりのパーソナルな嘆きが含まれている。武満徹が尊敬していたメシアンでは、その悼みの種類は個人的なものとは違うようだ。カトリック信者であったメシアンは、濃厚な信仰を自分の音楽に託した。音楽に名付けたタイトルからも、それは推し量ることができる。

バッハに戻ろう。

バッハの音楽が個人的な追悼を表したものではない、というのは、実はバッハがただひとりの人物(またはひとつのもの)を追悼するために、全ての音楽を作り出していた、と言い換えられないだろうか?メシアンのように、具体的な信仰のイメージを音楽に表出するのでなくとも。

あの理路整然とした音楽、それが、どれほど歓喜に満ちたものであっても、実はその奥底には「永遠なる追悼」が潜んでいるのだ。それこそがバッハの音楽を、何か人間的なものを通り越したものとして存在せしめている。
(入川 舜)


プロフィール
入川 舜(IRIKAWA Shun)Piano

静岡市出身。東京芸術大学音楽学部ピアノ科卒業、同大学院研究科修了。文化庁海外派遣研修員として、パリ市立地方音楽院とパリ国立高等音楽院修士課程でピアノ伴奏を学ぶ。
高瀬健一郎、寺嶋陸也、辛島輝治、迫昭嘉、A・ジャコブ、J−F・ヌーブルジェの各氏に師事。
「静岡の名手たち」オーディションに合格。神戸新聞松方ホール音楽賞、青山バロックザール賞を受賞。
日本人作曲家の作品を蘇らせたCD「日本のピアノ・ソナタ選」(MTWD 99045)、また「ゴルトベルク変奏曲」(MTKS-18341)のソロ録音CDがある。
2011年デビューリサイタルを開催。以後も、ドビュッシーのエチュード全曲など、意欲的なプログラムでリサイタルを行う。
2021年には東京文化会館にてジェフスキの「不屈の民変奏曲」他によるリサイタル(日本演奏連盟による主催)を開催。
2022年のバッハの「ゴルトベルク変奏曲」演奏会が、第32回青山音楽賞を受賞した。
現在、 幅広いジャンルで活動中。オペラシアターこんにゃく座のピアニストを2018年より務める。東京、渋谷の美竹サロンにて、「バッハを辿る」コンサートシリーズを継続中。
東京藝術大学非常勤講師。日本演奏連盟会員。
公式ホームページ:https://shunirikawa.work/