美しく、力強く、静けさに秘めたロマン、叙情性――。
鈴木舞&尾崎未空がグリーグ、シベリウスを中心とした北欧の巨匠シリーズに挑む!
〜北欧の巨匠たち Vol.1〜
ドイツもの、ロシアもの、フランスもの…クラシック音楽は膨大であるがゆえに、国、時代、系譜、形式など、さまざまな角度でセグメントを切ることができる。
国によって、さまざまな「〜もの」を耳にすることがあるが、なぜだか“北欧もの”を中心に取り上げている企画にはあまり出会わない。
北欧の作曲家といえば、ノルウェーのグリーグ(1843-1907)、フィンランドのシベリウス(1865-1957)の二大巨匠がまず挙げられるだろう。
そんな“北欧もの”だが決して無個性ということはなくむしろその逆で、郷土愛というか自国独自の意識が感じられるどこにも無い個性で彩られている作品が多い。
グリーグの有名なペール・ギュントの朝は清々しく瞑想的な音楽が広がる。傑作中の傑作といってよいピアノ協奏曲イ短調では北欧の抒情性に溢れながらも、大自然の湧き上がるような力強さは、聴き手に大きなパワーを与える。
シベリウスは主に交響曲の評価が高い。特に、第2番「フィンランディア」は《フィンランドは目覚める》という言葉のごとく、ロシアの政治的占領下に対して高まりつつあった民族主義的な不安や不満の渦の中に希望へと駆り立てるうねりが感じられる。
素朴ながら特長的な小品も残されており、「もみの木」はピアノ曲で最も有名だろう。
本シリーズでは、小品等の室内楽作品を通して、交響曲とは違った北欧の森の静けさや抒情美を味わいたい。
北欧の二大巨匠を中心とした異色の企画だが、鈴木舞氏と尾崎未空氏のデュオにより全3回シリーズとして展開することになった。
どんな作品でも既成観念に縛られることなく真摯に向かい合い、全身全霊で伝えようとする“アーティスト魂”には毎回感服するものがあるが、今回の企画は名曲ではあるが聴くことができる機会が少ないため貴重なチャンスとなるだろう。。
留学先ミュンヘンで研鑽しあった二人による「北欧の美しく、力強く、静けさに秘めたロマン、叙情性」を深く味わってみよう。
(渋谷美竹サロン)
プロフィール
鈴木 舞(SUZUKI Mai)Violin
東京藝術大学附属高校、同大学を卒業し、ローザンヌ、ザルツブルグ、ミュンヘンでディプロマ、国家演奏家資格を取得。在学中より国内外でリサイタルやコンサートに出演し、これまでに小林研一郎、円光寺雅彦、飯森範親、ニコラス・ミルトン、ヨルマ・パヌラ、イヴァン・レプシッチらの指揮で、読売日響、東響、日本フィル、スイス・ローザンヌ室内管、フィンランド・クオピオ響、チェコ・モラヴィアフィル、ドイツ・ホーフ響、クロアチア放送響、ザグレブ・ゾリステン等と共演。
2007年チャイコフスキー国際コンクール(ロシア)最年少セミファイナリスト、2011年アンリ・マルトー国際コンクール(ドイツ)ファイナリスト。2013年ヴァーツラフ・フムル国際ヴァイオリンコンクール(クロアチア)で優勝、オーケストラ賞。オルフェウス室内楽コンクール(スイス)優勝。2016年スピヴァコフ国際ヴァイオリンコンクール(ロシア)第2位。2018年コープミュージックアワード室内楽コンクール(イタリア)第2位。
2012年度シャネル・ピグマリオン・デイズ・アーティスト。
東京交響楽団と録音したベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲~第3楽章、マスネ:タイスの瞑想曲が日経ミュージックセレクションCD「モーニング・イン・クラシックス」に収録された。2017年にキングレコードよりデビューアルバム「Mai favorite」をリリース。2020年「ルドン、ロートレック展」(三菱一号館美術館)のオーディオガイド、並びにタイアップCDに演奏が使用された。
使用楽器は1683年製のニコロ・アマティ。
尾崎 未空(OZAKI Misora)Piano
2016年第40回ピティナピアノコンペティション特級グランプリ、及び文部科学大臣賞受賞。2010年いしかわミュージックアカデミーIMA音楽賞。2012年第8回モスクワ・ショパン国際青少年コンクール第3位、及び最優秀小品演奏特別賞受賞。2019年第15回MozARTe international piano competition(ドイツ・アーヘン)で第1位及び聴衆賞を受賞。2021年第4回タリン国際ピアノコンクール (エストニア) で第3位、及びENSO(エストニア国立交響楽団)賞受賞。
2009年にめぐろパーシモンホールにて初リサイタルを開催して以来、国内外で数多くの演奏会に出演。これまでにリトアニア国立交響楽団、ミネソタ管弦楽団、東京交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団等と共演。2017年3月キングレコードよりデビューCD「MISORA」をリリース、5月には浜離宮朝日ホールにてリサイタルを開催し、高く評価された。昭和音楽大学卒業、2018 年秋よりミュンヘン音楽演劇大学大学院に在学。江口文子氏、アンティ・シーララ氏に師事。