サクソフォンに魅せられた作曲家たち──
ロシア出身の作曲家グラズノフは最晩年に、サクソフォンの為の協奏曲を書き上げました。
健康上の理由で滞在先のパリから離れられず、創作意欲も減退していた晩年のグラズノフに
サクソフォンという楽器は新たなインスピレーションを与えたのです。
「この楽器は際立って聴き取りやすい音を持っている。
オーケストラでは他の木管楽器群をほとんど覆ってしまうほどだ。
これがジャズで聴かれる同じ楽器だとは到底思われない。
私が心から感銘を受けたのは、彼らの息づかいと疲れを知らぬ体力、軽やかな響き、そして明快なイントネーションだ。」
19世紀に発明されたサクソフォンは他の楽器と比べると“新しい楽器”と言えるでしょう。
しかし、発明されてすぐに多くの作曲家を魅了し、多くの作品に取り入れられ今日に至っています。
グラズノフのサクソフォンコンチェルトは、サクソフォン奏者にとって、ヴァイオリン奏者にとってのメンデルスゾーン、
チャイコフスキーのコンチェルトと同じくらい重要なレパートリーであり、私達サクソフォン奏者がとても大切にしている作品です。
今回はこのコンチェルトを中心にプログラムを組み立てました。
作曲家とサクソフォンの関わり、歴史を解説しながらコンサートを進めて参ります。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
(山川 寛子)
掲載インタビュー記事
【山川寛子さん】クラシカルサクソフォニストとして生きる理由──
プロフィール
山川 寛子(やまかわ・ひろこ)Saxophone
昭和音楽大学卒業。第10回ブルクハルト国際音楽コンクール管楽器部門にて審査員賞を受賞。第7回ルーマニア国際音楽コンクールにて奨励賞を受賞、他受賞歴多数。2012年、ルーマニア国立ラジオ局にて公開CD録音を行い、好評を博す。また、ルーマニアのペレシュ城、アルクーシュ城にて演奏会を開催し、その模様は全世界に放映された。その後も2014年11月にルーマニアとトルコでのリサイタル、2015年5月にはロマナ・アメリカン大学(ルーマニア)日本語研修センター10周年記念行事に日本からの招待アーティストとして招かれ、最終日のコンサートで弦楽カルテットとの演奏を行う。2017年1月セカンドアルバム「Classical Melodies」を発売。2018年2月にはルーマニア・ブラショフ フィルハーモニー交響楽団と2曲の協奏曲を共演し、好評を博した。
現在、ソリストとしての活動の他、室内楽、オーケストラへの客演等幅広い演奏活動を展開中。これまでにサクソフォンを大森義基、波多江史朗の各氏に、室内楽を榮村正吾、福本信太郎の各氏に師事。ジャン=イヴ・フルモー、須川展也、各氏のマスタークラスを受講。
公式HP
http://hirokosax.com
入川 舜(いりかわ・しゅん)Piano
静岡市出身。東京芸術大学音楽学部ピアノ科卒業、同大学院研究科修了。パリ市立地方音楽院とパリ国立高等音楽院修士課程でピアノ伴奏を学ぶ。
高瀬健一郎、寺嶋陸也、辛島輝治、迫昭嘉、A・ジャコブ、J−F・ヌーブルジェの各氏に師事。パリ・シャトレ座はじめフランス各地やスイスで演奏するほか、オーケストラとの共演、室内楽、コンクールや講習会での演奏、録音など、活発な活動を行っている。
「静岡の名手たち」オーディションに合格。神戸新聞松方ホール音楽賞、青山バロックザール賞(依田真宣(Vn)、内田佳宏(Vc)両氏とのピアノトリオとして)を受賞。
日本人作曲家の作品を蘇らせたCD「日本のピアノ・ソナタ選」をミッテンヴァルト社より発売、文化庁芸術祭参加作品となる。
2011年デビューリサイタルを開催。以後も、2015年のドビュッシーのエチュード全曲など意欲的なプログラムでリサイタルを行う。
パリ市立地方音楽院でピアノ講師と伴奏員を務めた。現在、 オペラシアターこんにゃく座のピアニストを務める。
文化庁海外派遣研修員。Fondation Meyer およびADAMI(フランス)の奨学生。