絶品!佐藤彦大によるベートーヴェンの三大ソナタ!!
「悲愴」「月光」「熱情」──
6月3日(日)15:00~ <佐藤彦大ピアノコンサート> ベートーヴェンの真髄に迫る──
<プログラム>
ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」
ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」
今週のコンサートはなんとベートーヴェンの三大ソナタ!!
ベートーヴェンの劇的な人生を反映した究極の作品に、佐藤彦大が迫る。
ひとたびピアノに向かうや否や、垣間見せる深遠さ、卓越した鋭い解釈、至高の芸術性、美しさ…そうした光と影のもたす絶妙なバランス感覚を備えているピピアニストである佐藤彦大さん。
今回の彼が紡ぐベートーヴェン三大ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」は、おそらくさまざまな意味で、今年度最高の“ベートーヴェン三大ソナタ体験”として、わたしたちを待ち構えているはずです。
佐藤彦大、ベートーヴェンの三大ソナタに挑む!
そんな今回のコンサートに寄せて、そしてプログラムに寄せて、
佐藤彦大さんより想いが詰まったメッセージをいただいておりますので、ご紹介したいと思います!!
僕自身、このようなプログラムのコンサートは初めてで、畏怖や緊張など、様々な感情が入り混じっている。僕が学んだロシアンメソッドの系譜を辿っていくと、リスト、チェルニー、そして最後にはベートーヴェンに行き着くそうだ。モスクワ音楽院の伝統継承は本当に素晴らしいことだと思うし、それを受けて、いつまでも己を磨き続ける覚悟を持ってピアノに向かっている。ベートーヴェンの作品は、主に第1楽章の第1主題の動機が全楽章を支配し、緻密ながら統一感を持たせるスタイルで、そこから僕は彼の作品を「職人の仕事」と思っている。演奏家にとって音楽性だけでなく、自身の基礎力が要求される厳しい分野であり、だからこそ彼の作品に挑戦したくなるのだ。今日ベートーヴェンの最も偉大とされる三大ソナタに立ち向かった結果、何が待っているのか、何が得られるのか。「期待」の感情が勝っている。
プログラムに寄せて ──
▪ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」
ベートーヴェンの初期の傑作。悲愴=悲しく痛ましい、という日本語の意味とはどこか違うように思う。非常に情熱的で、若かりしベートーヴェンの苦悩の中にも決然とした力強さが見られ、それがこの作品の魅力であろう。演奏時間は20分程度で、他の初期ソナタよりも短めではあるが、規模を損なわずに無駄のない、緻密な構成。序奏付きのソナタ形式はこの第8番第1楽章ではじめて見られるが、展開部、終結部において場面転換としての役割も持っている。有名な第2楽章の美しさ、第3楽章の焦燥感など、各楽章の性格がきちんと書き分けられ、聞くものを飽きさせない。当時から楽譜も良く売れたそうで、ベートーヴェンの作曲家としての地位を引き上げた重要な作品という位置づけもできる。
第1楽章: Grave – Allegro di molto e con brio
第2楽章: Adagio cantabile
第3楽章: Rondo, Allegro
▪ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」
月の様々な姿が想像させられる、中期を代表する傑作。中期のピアノ・ソナタは第13番作品27-1からとされているが、ベートーヴェン自身によって「幻想風ソナタ」と名付けられた第13番、第14番は斬新な構成で書かれている。彼は全32曲のピアノ・ソナタの中で様々なスタイルの研究を行ったが、作品27はそれが最も分かりやすい。一般的なピアノ・ソナタといえば第1楽章がソナタ形式で書かれ、作品として比重が大きい。第2楽章が叙情楽章、第3楽章にスケルツォやメヌエット、第4楽章がロンドとなっているが、作品27はゆったりとした第1楽章、メヌエットの性格を持った第2楽章、そして第3楽章がソナタ形式で書かれた比重の大きなものとなっている。また、各楽章が連続して演奏されるよう指示が書かれており、全楽章を通して一つの作品という意識がより強い。「月光」は、第1楽章の朧月を連想させる幻想的な雰囲気、第2楽章の控え目ながらも明るいメヌエット、情熱的な第3楽章と、楽章を追う毎にテンポが上がり、音量が大きくなるように書かれているところに注目して聴いていただきたい。
第1楽章: Adagio sostenuto
第2楽章: Allegretto
第3楽章: Presto agitato
▪ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」
「ハイリゲンシュタットの遺書」をご存知だろうか?ベートーヴェンが難聴であったというエピソードは誰でも知っているが、この遺書には、日ごとに悪化する難聴に対して絶望したベートーヴェンが音楽家・芸術家として難聴に負けずにそれを乗り越え、運命を全うしたいという強い意志が書かれており、それ故、彼の事を知るためには、この手紙のことを絶対に知らなければならない。この遺書を書いた後には交響曲第5番「運命」等の重要な作品が次々に生まれているが、このピアノ・ソナタもやはりその頃に書かれている。ベートーヴェンにとって命題であった「運命の動機」が全楽章を通して重要な役割を果たす。ソナタ形式の第1楽章では提示部に繰り返しが無く、第2楽章は変奏曲、第3楽章はソナタ形式であるが、展開部・再現部に繰り返しがあるという、一見型破りな構成も、聴いてみると何故か納得させられるという、必然性がある。無駄な音は一切無く、両端楽章の緻密ながらも意志の強い音楽、第2楽章の気高い精神性、第3楽章の力強いコーダで意志を貫く様と、全曲を通して圧巻の一言で、まさにベートーヴェンの最高傑作と呼ぶのに相応しい作品。
第1楽章: Allegro assai
第2楽章: Andante con moto
第3楽章: Allegro ma non troppo – Presto
プロフィール
佐藤 彦大(さとう・ひろお)Piano
盛岡市出身。東京音楽大学大学院器楽専攻鍵盤楽器研究領域(ピアノ・エクセレンス)修了、ベルリン芸術大学及びモスクワ音楽院にて研鑽を積む。2009-2012年ローム・ミュージク・ファンデーション、2013・2015年度明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生。
2004年第14回日独青少年交流コンサートに出演、翌年には招待演奏者としてドイツ各地での演奏会に出演。2008年第17回国際音楽祭「ヤング・プラハ」に出演。2009年広上淳一指揮/東京音楽大学シンフォニーオーケストラのヨーロッパツアー、2012年小泉和裕指揮/仙台フィルハーモニー管弦楽団の東北ニューイヤーコンサートツアーにソリストとして同行。その他、大友直人指揮/東京交響楽団、小林研一郎指揮/日本フィルハーモニー交響楽団、広上淳一指揮/京都市交響楽団、L.ヴィオッティ指揮/ビルバオ交響楽団、V.P.ペレス指揮/テネリフェ交響楽団等、国内外の主要オーケストラと共演。室内楽ではNHK交響楽団主席メンバーをはじめ久保陽子(Vl.)、二村英仁(Vl.)の各氏等と共演している。
主要なリサイタルは、2011年東京文化会館小ホール、2013年紀尾井ホール、2016年浜離宮朝日ホールにて行われ、各誌で好評を博した。また、NHK-FM「名曲リサイタル」「リサイタル・ノヴァ」に出演。 日本各地をはじめスペイン・ロシア・ドイツ・イタリア・フランス・チェコ・中国で演奏活動を行っている。
録音ではライヴ・ノーツより2012年「Hiroo Sato plays 3 Sonatas」、2017年「Hiroo Sato Piano Recital」(レコード芸術準特選盤)の2枚のアルバムをリリースしている。
現在、東京音楽大学講師、岩手大学特命准教授として後進の指導にあたっている。ミリオンコンサート協会所属アーティスト。
【受賞歴】
2004年第58回全日本学生音楽コンクール高校の部全国大会第1位、併せて野村賞・都築音楽賞受賞
2006年第1回野島稔・よこすかピアノコンクール第1位
2007年第76回日本音楽コンクール第1位 、併せて野村賞・井口賞・河合賞を受賞
2010年第4回仙台国際音楽コンクール第3位
2011年第5回サン・ニコラ・ディ・バーリ国際ピアノコンクール第1位、併せてF.リスト2011特別賞、批評家賞を受賞(イタリア)
2015年第21回リカルド・ビニェス国際ピアノコンクール第2位(スペイン)
2015年第36回霧島国際音楽祭賞受賞
2016年第62回マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽コンクール第1位、併せてグラナドス賞・聴衆賞を受賞(スペイン)
Twitter: https://twitter.com/hiroopiano
ブログ: http://blog.livedoor.jp/hiroopiano/
当日プログラム
ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」
ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」
チケット情報
※限定50席
当日、現地払いでお願いいたします。
4,000円(一般・全席自由席)
3,500円(会員・指定席あり)
2,000円(学生・全席自由席)
※会員のご紹介はこちら
★8Fラウンジにてウェルカムドリンク、お菓子をご用意しております
皆さまのご来場、心よりお待ちしております。