現在ミュンヘン音楽演劇大学大学院に在学中で、すっかりヨーロッパの生活に馴染み、益々の研鑽を積む彼女ですが、その音楽へのピュアな探究心や原動力はどこから来るのでしょうか。
「尾崎未空にしかできない音楽」というものに触れると、その心地よさと洗練された美しい音色に驚きます。自我の無い澄み切った美しさからは、いつまでも聴いていたくなるような彼女の不思議な魅力が溢れています。
そんな彼女が、今回挑むオール・シューベルトプログラムの聴きどころや、留学生活での印象的な出来事、プライベートの過ごし方や意外な一面に至るまで…幅広くお話しいただきました。
音楽の道に導かれた素質と環境
スタッフ音楽家さんは、家庭環境やご両親、ご兄弟ご姉妹が音楽をされていることが多いですが、尾崎さんの場合はどうでしたか?
尾崎私の場合は、7歳離れた兄がピアノを習っていたので、生まれた時からずっとピアノの音が流れている環境で育ちました。あまりにも生まれた頃から当たり前のようにごく自然にピアノが聞こえていたのでピアノというのはみんな弾けるものだと勘違いしていたらしくて…(笑)
習い事としては早い段階でスタートしていました。
スタッフなるほど。その習い事からピアニストになろうと意識し始めたのはいつ頃からだったのでしょうか?
尾崎そうですね、幸い、環境にも先生にも恵まれていましたので、それこそコンクールを受けたり、コンサートで演奏したりという機会を幼い頃からいただいていました。ですので、ピアニストになろう!と決心するより、自然とそういうことがずっと続いていくものだと、半分当たり前みたいに思っていたのかもしれません。
スタッフなるほど。ではもしピアニスト以外のお仕事をされるとしたら、何だったと思いますか?
尾崎なんだろうな…。このご質問、考えたのですが、なかなか思いつかないんですよね。
スタッフそうですか!強いて言えば…?(笑)
尾崎そうですねぇ、じゃあ・・・興味があるのは身近にいていつもお世話になっているピアノの調律師さんとか…!
やはり音楽ってそれこそ死ぬまで取り組める仕事だと思いますし、とても尊さを感じます。調律師さんはすごく職人的な要素もあるのかなと思いますが、ピアニストと同じようにその人の音ってやはり出るものかなと最近考えたりしていたところでした。
スタッフはい。それこそ”自分にしかできないこと”という観点からも、価値ある仕事だと思います。
世の中、ロボットに代わられてしまう仕事や、使い捨てのようにされてしまう仕事で溢れているので…。
音楽家というのは歳をとれば取るほど深みを増すというか、どんどん魅力を増していくような気がします。もちろん、途中で舞台から姿を消されてしまう人もいらっしゃるので、一概には言えないのですが…。真剣に音楽と向き合い続けている本物の音楽家になるほど、歳をとればとるほど良い演奏をされますよね。
尾崎そうですね。かつてのルービンシュタインなんかも、その意味でも素晴らしかったですね…。
スタッフ先ほどお兄様のお話が出ましたが、尾崎さんのお兄様もピアニストさんだと思いますが、幼い頃にピアノの取り合いとか、意見の違いとか…音楽のことでケンカはしなかったのですか?
尾崎いや、逆に二人とも練習をしていなくてピアノが空いている時に、母から「なんでピアノが空いているの?どっちか練習しなさい!」って言われたこともあったような・・・まぁ半分冗談ですけど(笑)
兄はとても落ち着いた性格の人なので、ケンカなど無く、今も割と仲良いですね。
スタッフ未空さんも落ち着いた性格に思えますが…(笑)お二方とも穏やかな性格なので、伸び伸びと続けられているという面があるのでしょうね。
ピュアな好奇心は、まるで少年そのもの?!
スタッフ音楽をしていて印象的な出来事や、感動したことなど、覚えている範囲で教えていただけますか?
尾崎初めてヨーロッパで演奏したのが、私が中学1年の頃、ドイツのコンクールを受けたときでした。その時はコンクールという雰囲気ではなく、まるでコンサートのようなあたたかい雰囲気のなかで演奏ができて、それこそお客様との繋がりを感じることができたり、コンクールであることを忘れるくらいで、とても印象的でした。まだ自分も幼かったのですが、演奏しているステージであたたかい空気が感じられるような経験でしたので今でも印象的に覚えています。
ヨーロッパの自由な空気感や古い街並み、建物など美しい面をたくさん見たので、その時からヨーロッパへの憧れを抱くようになりました。そんな経験が今でも記憶に残っているシーンですね。
スタッフなるほど。10代でヨーロッパの地に足を運んだ経験というのは、その後の人生にすごく影響を受けそうですね。
日本のコンクールとは、やはり様子は違っていましたか? イメージですが…日本のコンクールの方がピリピリしていそうです…(笑)
尾崎そうですね(笑)。もちろん、日本のコンクールでも演奏会のような感覚で演奏を”楽しみ”に聴きにいらしているお客様もたくさんいらっしゃると思います。ですが、特に小さいときのコンクールは日本の方がピリピリしていたかな?
10代の頃は舞台で弾く機会を得るために、コンクールに挑戦しているという感じでした。その機会を通して、お客様のいるところで弾ける喜びを味わうようになったのかもしれません。
スタッフそれは未空さんの性格も影響しているような気がします!
コンクールって、どうしても結果も伴うだけに、構えてしまってプレッシャーで楽しめない人がほとんどだと思いますので…。そうやってどんなシーンでもピュアに音楽を楽しめるは、未空さんのすごい才能なんじゃないかなぁ。
尾崎もちろん、準備している時は辛いんですけど…(苦笑)最後のレッスンが終わって、これから渡欧するぞという時、すごく楽しみな気持ちになるんですよね。
あと好奇心もとてもありましたね!
スタッフなるほど、前から思っていたのですが、未空さんって、”少年っぽい”ですよね?(笑)
尾崎えー!じゃあ、将来おじさんになるのかなぁ(笑)
スタッフいやいや、そういうことではなくて!(笑)何か、さっぱりしていて、ピュアな好奇心を持っているというか…。
特に音楽に対する追求心がとってもピュアで、邪念が無いのがわかります。そういう未空さんの特長から、自然で、純粋で、清らかな、品のある音楽が生まれるんだろうなぁと思いました。
尾崎自分の演奏スタイルとして、そんなに派手な演奏のタイプではないので、もしかしたら面白く無いと感じる人もいるのかもしれません。それでも音楽は不思議なもので、弾き手の個性や美意識、表現したいものが現れます。
音楽は人の表面的な面だけでなく、言葉で語れないような深い部分、あるいは無意識的なところまで色々な面を映し出すと思います。なので”自分”というよりは、聴いている人に、音楽を通じて”何か”を感じ取っていただけるものがあれば、それが何よりも嬉しいことだと思っています。
スタッフまったく同感ですね。「自分はこういうピアニストです、こういうところを聴いてください」って、その一言では簡潔できないくらい、音楽って深いものだと思います。そうやって、良い意味で自分を無色透明に客観的に捉えられる人って、音楽家という職業に限らず、少ないのではないでしょうか…。ですが、とても大切なことだと思うのです。
尾崎ひとりの人間に色々な面があるのは、音楽に関わっているときの状態も同じように思います。
例えば、ピアノソロの時では気付かなかったけれど、室内楽に取り組んでいると、他の人から自分の新たな面を引き出していただけたりするので…。
スタッフなるほど。聴き手も同様に、今まで面白く感じなかった音楽が、何かの拍子に面白いと変化することがあります。
すべての経験や感じたものが音楽を通してあらわれるので、弾き手も聴き手も、やはり音楽は一生ものですね!
自分の殻を破ることができる、欧州のディスカッションの文化
スタッフ日本とヨーロッパで何かカルチャーショックを感じことはありましたか?
尾崎そうですね〜、やっぱりすごくオープンな文化なので、意見交換ができるのが良いなぁと思います!
スタッフそれは皆さん口を揃えて言いますね!(笑)
尾崎はい!例えば先生と生徒といった年齢や上下関係をあまり気にせずに話せるので本当に話しやすいなと思うことが多いです。
それが結果的に、音楽作りや色々な面に生かされてくると感じます。授業中、クラスの友達などと意見交換をする機会があるのですが、最近はレッスン以外にも意見交換をすることが増えてきて、それがすごく楽しく感じます!
スタッフそんな日常でもディスカッションがあるのですね!
尾崎そうですね、それこそ当たり前のようにありますね〜。
スタッフ言い方が悪いかもしれませんが、けっこう人の演奏にも平気で意見を出し合う感じと聞きましたが?
尾崎そうですね。それが当たり前なのでまったく失礼なこととも感じないし、違和感はまったく感じないです。
スタッフへぇ〜!日本人は遠慮してしまうから…私もついついそう思っていなくても「素晴らしかったですね」などと言ってしまうこともあります(笑)。何が素晴らしかったのか、自分の気付きのためにもそこまで落とし込んでお伝えするのが良いと思うので、最近は気をつけていますが…。
尾崎そうですね!一言でまとめないで、ここはこうだけど、ここはこういう風に思ったとか…。”なぜ”という部分を明確に伝えた方が、かえって誤解なく伝わるような気がします。むしろその方がより、仲が良くなりますしね!
スタッフなるほど!確かに、その方が本質的なコミュニケーションで繋がれるような気がします。
尾崎私も日本にいた時にどうだったかな〜と振り返ってみたんですけど、あまり自己主張をする方ではなかったので、渡欧してから自分の意見を話すようになってきたのは嬉しいです!
そうした変化を今は素直に楽しんでいます。
スタッフなるほど。未空さん、確かに口数は多くないかもしれませんが、その一言一言はけっこう本質を突いているというか…自己主張をしなくとも自分を持っている人だなぁと、もともと日本にいらっしゃるときから感じていましたよ!
尾崎ありがとうございます!
もちろん、文化の違いの中では、逆に日本の良いところも同時に感じることもありました。例えば日本特有の”優しさ”というのでしょうか。言語の例で言うと、日本には目上の人を敬う敬語が存在しますが、ヨーロッパではそう言う表現は無くフラットなぶん、粗忽さを感じることがあります。ですので、互いの良いとこ取りができれば良いなぁと思っています。
スタッフ確かに、その通りですね!
尾崎あと、自分の弱みでもあるのですが、日本だと萎縮してしまうことがあったのですが、その殻を破りつつあるのは、嬉しいことかもしれません。音楽のみならず他のシーンでも、自分の表現力がもう少し納得のいくようにできるようになりないなぁって思っています。
尾崎 はい!
スタッフやっぱりそうでしたか。なんだかスッキリされた表情でしたので!
「音楽(Musik)」──そのひと言で伝わるもの
スタッフ最近、感動したことを伺っても良いですか?
尾崎今年の夏にピアニストのエリザベス・レオンスカヤのマスタークラスをオーストリアで受けてきたのですが、昔、日本で演奏会を聴いて感銘を受けていたので、直接お会いしてレッスンを受けられることを楽しみにしていました。実際のレッスンでは論理的に物事を捉えて丁寧に音楽に向かっていく姿勢が印象的でした。しかし途中で先生方のコンサートがあったのですが、舞台上の彼女はいつもの温かく理知的なお人柄の彼女とは全く別人のような気迫とオーラを放ち、とても驚きました。すべてをある意味放り出してその瞬間に没頭する、そのギャップはひとつの演奏家の理想の姿だなぁと感じましたね。
スタッフそれはとても印象的でしたね!そういう音楽家さんに出会うと、「あぁ、音楽とともに、良い歳の取り方をされているなぁ」と憧れますよね。彼女をそこまで”アーティスト”にさせるものは何だったのでしょうか?
尾崎なんでしょうね。努力と情熱と、色々なものが挙げられると思いますが…。
私も同じように疑問に思ってマスタークラスを終了して、先生にお礼を伝えるときに聞いてみたんです。
「レッスンと舞台上ではあまりにも姿が違っていて感激しました。舞台上でのあのエネルギーはどこから来るのですか?」と。
そしたら即答で「音楽(Musik)」と、1秒の隙も無く答えられたのです!
その時の顔というか眼差しというか…あの真っ直ぐな表情は忘れられなかったです。本当に良い貴重な経験ができた夏だったなぁと感じます。
スタッフえ〜!かっこいい!
その一言に全てが詰まっているというか、多くを語らなくても伝わるものがありますよね。
尾崎はい、かっこよかったです…。
私からのそういう質問に対してもどんなことにも丁寧に真摯に向き合ってくださいましたし、一流のアーティストなのに、本当に素敵な人だなぁと思いました。
自分もちょっとでもそんな風になれたら良いなぁなんて思ってしまったりしました(笑)
スタッフしまったりしましたか(笑)。わかるなぁそれ…。
なんというか、「物質的な法則」と「精神的な法則」って、それぞれ別個にあると思うんですよ。例えば「この練習を100回すれば弾けるようになりますよ」とか、「このコンクールで結果を残せばピアニストになれますよ」いうのはあくまで物質的な法則だと思います。
ですが、それだけでは真のアーティストにはなれませんよね?
今だったらAIで分析して人々が感動する音楽を弾くとしたら、これは究極的に「物質的な法則」にあたるのではないでしょうか。ですが、人の血が通っていないそうしたものを芸術とは言えませんよね。
では最終的に、何が作用されるかというと、やっぱりハートとかマインドではないでしょうか。音楽への愛情であったり、謙虚さであったり…目に見えない法則が最終的には大きく作用するのだと思います。
尾崎そうですね。もちろん身体としては練習をする行為は必要なので、精神的な面とフィジカルな面をどうやっていかに繋げていくか、それもポイントだと思います。そうした部分に関しては永遠の課題というか、答えの無いことなのかもしれませんが…。もちろん、難しい曲だったら当然、練習をしないと弾けませんので…(笑)
夏休みは山登り?!自然を愛するピアニスト
スタッフプライベートではどんな過ごされ方をしていますか?
尾崎今年の夏は、結構楽しんだのですよ(笑)
スタッフそうなのですね!是非、お話し聞かせてください♪
尾崎現在住んでいるミュンヘンはドイツの南の方で、オーストリアにも近くアルプスにもとても近いんです。
なので、今年の夏は山登や湖に何度も行きました。私は自然の空気がとても合っているみたいで…。リフレッシュにもなり、本当に幸せな時間でした。
スタッフそれは良くわかりますね!というか、やっぱ少年だなぁ(笑)
未空さんのピアノって、大自然の森羅万象に働いているさざなみのような、自然の流れのような心地よさを感じることがあります。
尾崎そんな壮大なことはないですよ…(笑)。
ですが、ミュンヘンというこの街に、とても馴染んでいるように感じます。ミュンヘンは都会的な面もあり住みやすい一方で、文化的な側面も充実しているし少し足を伸ばせばアルプスもあるので、そういった立地上の条件も良いことから人気ですね。
オーケストラもミュンヘンフィルやバイエルン放送交響楽団など、本当にレベルの高いオケがいつも聴けるので演奏会もとても楽しめるので良いですね!
今年はザルツブルク音楽祭にも行きました。
スタッフそれはすごく刺激になりそうですね!
尾崎今年の夏はコロナ前の元の生活に少し近づいてきているように感じました。
ただ移動はまだ心配な面があるので、全て電車移動にしています。この前も気がつけば半日ほど電車に揺られながら、ぼーっと移動していました(笑)。ですが、モーツァルトの時代なんかは移動にそれこそ何日もかけてということもあったでしょうから、時間の概念が今とは違っていたと思います。そう考えるとこういった移動時間も尊いものと感じられます。
”自分のため”に演奏する時間を経て、気付いた大切なこと
スタッフコロナ禍を経て何か変化はありましたか?
尾崎改めて自分にとって音楽は必要なものだなと再認識しました。
スタッフそうですね。それこそ身の安全が第一で、生きていく上でのインフラってあると思うのですが、音楽を娯楽と捉えてしまうと、確かに不要不急と言われてしまうかもしれません。しかし、音楽は、生きていく上での精神的なインフラになるものではないでしょうか?
尾崎本当にそう思いますね。
コロナの最中に、何もしなくてもいいという3ヶ月くらいの時間を日本で過ごしました。自分でも最初のうちはどういう風に過ごすのかわからなかったのですが、自然と毎日、ピアノに数時間向かっていて…実際に音を出して、弾きたい曲をじっくり弾いていたりして過ごしていたのですが、やっぱり、内面的に充実した感覚を、音楽からもらって過ごしていましたね。そんな自分にも驚きました。
それこそ小さい頃から、ずっとコンクールやコンサートがあって、何かの目標に向かって演奏することが多かったので、本当はもっと”自分のため”に弾いても良いんだなぁと感じました。大切なことを見つけられたような感じでした。
スタッフ演奏家さんって、人前で演奏するのが仕事じゃないですか。コロナ禍で演奏の機会がなくなってしまっても、そういう時にこそ音楽によって助けられたという話はよく耳にします。
尾崎もちろん、お客様の前で弾く喜びと音楽からもらうパワーと、どちらも違った良さがあります!
“未空さんらしさ”の魅力の秘密
スタッフ今一番大切にされている作曲家や作品はありますか?
尾崎この問いは、いつもそのときに取り組んでいるものになっちゃうんですよねぇ(笑)。
今回は・・・・。
スタッフシューベルト?
尾崎そうですね!シューベルト!
スタッフ今回は”オールシューベルト”ということで、気合いが入っていますよね!是非、お越しいただく皆様にメッセージがあればよろしくお願いします!
尾崎今年は3月からずっと年末までヨーロッパに滞在して勉強していた年だったのですが、年末にこうやって日本で皆様の前で弾かせていただけるのがとても楽しみです。
今回はオールシューベルトということで、じっくりと音楽に身を委ねられるような… シューベルトをいろんな角度から体感できる、そんな演奏会にしたいです。
スタッフそうですね、シューベルトの音楽性ってとっても魅力的!
何か、じっくりと愉しみたい作曲家のひとりだと思います。私も歳を重ねるにつれてシューベルトの魅力を感じています。
尾崎今回は即興曲変ロ長調、シューベルト=リストのドイツリート2曲とさすらい人幻想曲、そして最後の変ロ長調ソナタを予定しています。
さすらい人幻想曲は、シューベルトの作品にしては男性的というか、とても逞しい作品故にパワフルに演奏される方が多いですが、”ファンタジー”なので自由に、私なりの信念が伝わるように弾きたいです。シューベルトの”さすらい”というテーマにも注目して取り組んでいます。シューベルトの精神が感じられるように演奏したいと思います。
スタッフ未空さんの演奏はどの作曲家でも聴いてみたい、絶対に聴き逃したくないと思います。なぜ、どうしてですか?と聞かれたら、一瞬、戸惑ってしまいますが…。
尾崎未空という不思議なファンタジーに満ちたフィルター!を通過するからこそ、毎回聴きたくなってしまうのですよねぇ。これって何だろうと考えてみると、ベートーヴェンをベートーヴェンらしく、ショパンをショパンらしく、決して”剥き出し”にしては弾かないんですよね。必ず”未空さんらしい”作曲者への愛情を感じます。その未空さんらしさこそが、未空さんの”品格”なのではないでしょうか。癖がないというか…だからこそ何度も聴いてみたくなるんですよね。未空さんだったらどう弾くのだろう、と想像力を掻き立てられるというか。
自分の思いや感情を不自然に表現するような演奏は、時としてノイズとして感じられてしまいますよね…。
未空さんの作品への敬意と優しさ、愛情に溢れた演奏は、とても心地良く、いつまでもハートで聴いていられます。未空さんの演奏には、いつもそういうものを感じます。
尾崎ありがとうございます!
スタッフ今回はまた違った一面を発見できるであろう”未空さんのシューベルト”を体験できることを、楽しみにしております!
たくさんの印象的なお話しをお聞かせいただき、ありがとうございました。
(2021年10月8日収録。文責、見澤沙弥香)
尾崎未空ピアノリサイタル
2021年12月27日(月) 開演19:00
美竹清花さろん
⇨公演の詳細・ご予約はこちらから
Tel:03-6452-6711
info@mitakesayaka.com
当日プログラム
シューベルト:即興曲 変ロ長調 D935-3 Op.142-3
シューベルト=リスト:白鳥の歌より『セレナーデ』
シューベルト=リスト:冬の旅より『菩提樹』
シューベルト:幻想曲 ハ長調「さすらい人幻想曲」D760 Op.15
シューベルト:ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D960
*プログラム等は、やむを得ない事情により、 変更になる場合がございます。
プロフィール
尾崎 未空(OZAKI Misora)Piano
千葉県出身。 2016年第40回ピティナピアノコンペティション特級グランプリ、及び文部科学大臣賞受賞。第20回浜松ピアノアカデミーコンクール第3位。 ショパン国際ピアノコンクールin ASIA中学生部門(2009年)、プロフェッショナル部門(2013 年)にてアジア大会金賞。2010年いしかわミュージックアカデミーIMA音楽賞、2011年第5 回「福田靖子賞選考会」優秀賞受賞。2012 年第 8 回モスクワ・ショパン国際青少年コンクール(ロシア)第 3 位、及び最優秀小品演奏特別賞受賞。2014年第14回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(イスラエル)では最少年セミファイナリスト。2019年第15回MozARTe international piano competition(ドイツ・アーヘン)で第一位及び聴衆賞を受賞。 2009 年にめぐろパーシモンホールにて初リサイタル、翌年水戸・佐川文庫にてリサイタルを開催して以来、国内外で数多くの演奏会やオーケストラとの共演、また近年は室内楽も積極的に行っている。これまでにリトアニア国立交響楽団、ミネソタ管弦楽団、ポーランド・クラクフ室内管弦楽団、ポ-ランド・シレジア管弦楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団等と共演。 2017年3月キングレコードよりデビューCD「MISORA」をリリース、5月には浜離宮朝日ホールにてリサイタルを開催し、高く評価された。 昭和音楽大学ピアノ演奏家コース卒業、同附属ピアノアートアカデミー在籍。2018 年秋よりミュンヘン音楽演劇大学大学院に在学。江口文子氏、アンティ・シーララ氏に師事。