タグ: ピアノ
2017/12/13
【第十七夜】黒川侑&務川慧悟サロンコンサート(ヴァイオリン&ピアノ)
昨年、2017年を締めくくる美竹清花さろん最後の主催公演はヴァイオリニスト黒川侑さんとピアニスト務川慧悟さんによるデュオコンサート!
黒川さんはベルギーを拠点に、務川さんはパリを拠点にそれぞれ活躍されている演奏家さんですので、普段はなかなか聴くことができないお二人のデュオだけに、今回、お二人のスケジュールが合い、コンサートを実現できたことを嬉しく思います。
新年明けてのレポートになってしまい、大変お待たせして申し訳ございませんでした。
しかし、今でも鮮明に思い出されるほどの印象的な音楽の時間となりました。
黒川さんが当サロンにいらっしゃったのは、昨年の夏のことです。
以前より務川さんの奏でるピアノの内に秘められた”音”に驚いていましたが、黒川さんのヴァイオリンを聴いたときもまた、その”音”に驚きを隠せませんでした。
力強く芯がある印象的な音。
表現するのであれば「クリアな音」というよりは「明晰な音」というほうがしっくりきます。
それでいて繊細さや温かさも響きの中に豊かに含まれている――
まるで、万人を照らすお天道様の匂いを感じるような温かさ、 そんな印象さえ感じました。
そして、その音はまるで黒川さんそのものです。
音楽に対する誠実さや愛情、人や物に対する丁寧さや優しさ、自らに対しては克己と努力を惜しまない、そんな黒川さんのお人柄の素晴らしさが自然と音にも現れていたのです。
今回のプログラムでは、明るい軽快なモーツァルト、しっとりとしたショーソン、毅然としたヴァイオリンの凄さ、醍醐味、すばらしさをたっぷりと味わえるサラサーテやシュトラウスなど、初心者から通の方までが楽しめるようプログラムにも工夫が凝らされています。
<プログラム>
モーツァルト – クライスラー: ロンド
ショーソン: 詩曲 Op.25
サラサーテ: ファウストによる新しい幻想曲 Op.13
シュトラウス: ヴァイオリンソナタ Op.18
華やかな曲がずらり!
特に印象的だったのが、シュトラウス: ヴァイオリンソナタ Op.18です。
この曲は当時25才だったシュトラウスによって書かれた曲ですので、黒川さん、務川さんと近い年齢の時に書かれました。(務川さんとはちょうど同い年の頃ですね!)
プログラムに寄せてこの曲について以下のようなメッセージをいただいておりました。
「ブラームスのヴァイオリンソナタは名曲ですが、この曲とは違って彼の晩年の作品です。
しかし、この曲はシュトラウスが若かりし頃に書かれた作品にも関わらず、完成度が非常に高いのです。」
確かに、完成度が高い。
しかし実際わたしたちは、
お二人の演奏の完成度に驚いてしまいました!!
ヴァイオリンの重音は力強く、旋律は輝かしく、エッヂの立った響きでありながら、フレーズの終わりや、ふとしたハーモニーの変化などで時折見られる表情の柔らかさが絶妙です。
黒川さんのそのなんとも言えないバランス感覚に、センスと説得力を感じます。
まるで舞台で歌うオペラ歌手のように聴こえました。
そしてオペラのオーケストラを彷彿させるような務川さんのピアノに、「本当にヴァイオリンとピアノだけのコンサートなのか?」と錯覚してしまうくらい、立体的に音楽を堪能!
以前から感じていましたが、務川さんの“アンサンブルの巧さ”、これには舌を巻いてしまいます。
大ホールのコンサートに行くことが多々ありますが、演奏家との距離がどうしても遠くなってしまうのが、どうしても気になるところです。(もちろん大ホールならではのメリットもたくさんあります。)
サロンコンサートでは、演奏家と聴衆と空間がまるで一体となるように、音楽を”体験”することができるのです。
それはサロンコンサートの大きな魅力だと再確認するコンサートとなりました。
音楽を”聴く”、ではなく音楽を”体験”する。
理屈でも表面的な要素でもなく、真の体験からでないと感動は生まれてきません。
サロンコンサートには感動が生まれる可能性が、実は大ホールよりも秘められているのかもしれない――
その可能性を少しづつ、音楽家さんと、聴衆と共鳴しあいながら、創っていきたい。
着実に伝えていきたい。
そう思います。
ということで…
2018年もコンサートがもりだくさん!
詳細はこちらです。
サロンコンサートならではの魅力が美竹清花さろんにはあります。
どうぞお気軽に足をお運びくださいませ♪
次回、黒川侑さんは2019年1月6日に登場予定です!!
詳細はこちらから随時更新中ですので、チェックをよろしくお願いいたします!
→主催コンサートページへ移動
【第十七夜】黒川侑&務川慧悟サロンコンサート(ヴァイオリン&ピアノ)
昨年、2017年を締めくくる美竹清花さろん最後の主催公演はヴァイオリニスト黒川侑さんとピアニスト務川慧悟さんによるデュオコンサート!
黒川さんはベルギーを拠点に、務川さんはパリを拠点にそれぞれ活躍されている演奏家さんですので、普段はなかなか聴くことができないお二人のデュオだけに、今回、お二人のスケジュールが合い、コンサートを実現できたことを嬉しく思います。
新年明けてのレポートになってしまい、大変お待たせして申し訳ございませんでした。
しかし、今でも鮮明に思い出されるほどの印象的な音楽の時間となりました。
黒川さんが当サロンにいらっしゃったのは、昨年の夏のことです。
以前より務川さんの奏でるピアノの内に秘められた”音”に驚いていましたが、黒川さんのヴァイオリンを聴いたときもまた、その”音”に驚きを隠せませんでした。
力強く芯がある印象的な音。
表現するのであれば「クリアな音」というよりは「明晰な音」というほうがしっくりきます。
それでいて繊細さや温かさも響きの中に豊かに含まれている――
まるで、万人を照らすお天道様の匂いを感じるような温かさ、
そして、その音はまるで黒川さんそのものです。
音楽に対する誠実さや愛情、人や物に対する丁寧さや優しさ、自らに対しては克己と努力を惜しまない、そんな黒川さんのお人柄の素晴らしさが自然と音にも現れていたのです。
今回のプログラムでは、明るい軽快なモーツァルト、しっとりとしたショーソン、毅然としたヴァイオリンの凄さ、醍醐味、すばらしさをたっぷりと味わえるサラサーテやシュトラウスなど、初心者から通の方までが楽しめるようプログラムにも工夫が凝らされています。
<プログラム>
モーツァルト – クライスラー: ロンド
ショーソン: 詩曲 Op.25
サラサーテ: ファウストによる新しい幻想曲 Op.13
シュトラウス: ヴァイオリンソナタ Op.18
華やかな曲がずらり!
特に印象的だったのが、シュトラウス: ヴァイオリンソナタ Op.18です。
この曲は当時25才だったシュトラウスによって書かれた曲ですので、黒川さん、務川さんと近い年齢の時に書かれました。(務川さんとはちょうど同い年の頃ですね!)
プログラムに寄せてこの曲について以下のようなメッセージをいただいておりました。
「ブラームスのヴァイオリンソナタは名曲ですが、この曲とは違って彼の晩年の作品です。
しかし、この曲はシュトラウスが若かりし頃に書かれた作品にも関わらず、完成度が非常に高いのです。」
確かに、完成度が高い。
しかし実際わたしたちは、
お二人の演奏の完成度に驚いてしまいました!!
ヴァイオリンの重音は力強く、旋律は輝かしく、エッヂの立った響きでありながら、フレーズの終わりや、ふとしたハーモニーの変化などで時折見られる表情の柔らかさが絶妙です。
黒川さんのそのなんとも言えないバランス感覚に、センスと説得力を感じます。
まるで舞台で歌うオペラ歌手のように聴こえました。
そしてオペラのオーケストラを彷彿させるような務川さんのピアノに、「本当にヴァイオリンとピアノだけのコンサートなのか?」と錯覚してしまうくらい、立体的に音楽を堪能!
以前から感じていましたが、務川さんの“アンサンブルの巧さ”、これには舌を巻いてしまいます。
大ホールのコンサートに行くことが多々ありますが、演奏家との距離がどうしても遠くなってしまうのが、どうしても気になるところです。(もちろん大ホールならではのメリットもたくさんあります。)
サロンコンサートでは、演奏家と聴衆と空間がまるで一体となるように、音楽を”体験”することができるのです。
それはサロンコンサートの大きな魅力だと再確認するコンサートとなりました。
音楽を”聴く”、ではなく音楽を”体験”する。
理屈でも表面的な要素でもなく、真の体験からでないと感動は生まれてきません。
サロンコンサートには感動が生まれる可能性が、実は大ホールよりも秘められているのかもしれない――
その可能性を少しづつ、音楽家さんと、聴衆と共鳴しあいながら、創っていきたい。
着実に伝えていきたい。
そう思います。
ということで…
2018年もコンサートがもりだくさん!
詳細はこちらです。
サロンコンサートならではの魅力が美竹清花さろんにはあります。
どうぞお気軽に足をお運びくださいませ♪
次回、黒川侑さんは2019年1月6日に登場予定です!!
詳細はこちらから随時更新中ですので、チェックをよろしくお願いいたします!
→主催コンサートページへ移動
2017/12/8
こけら落とし【第十六夜】佐藤彦大サロンコンサート(ピアノ)
12月8日は美竹清花さろんでは2度目の登場となる、佐藤彦大さんのピアノコンサートでした!
そして翌日、12月9日はなんと佐藤彦大さんの誕生日。
ということで、この日は佐藤さん“20代最後”誕生日前夜のサロンコンサートとなりました。
そんな特別な日ということもあり、「これまでの集大成となる演奏会に」と、佐藤さんの意気込みや想いも一層強いものでした。
そんな佐藤さんから演奏に寄せて、以下のようなプログラムノートをいただいきました。
多忙な佐藤さんは飛行機の機内で過去を振り返り、音楽とご自分の人生について、その想いを馳せながら文章を書かれたそうです。
====================
幼少時代、僕は野山を駆け回り、トンボや蝶を追い、山菜・きのこを採取していた。実家は盛岡市内にもかかわらず、ツキノワグマが出没するようなところで、都会の慌ただしさも無く、豊かな自然の中で暮らしていた頃が懐かしい。そのような環境の中でピアノを習っていたのだが、本日演奏されるモーツァルト、シューベルト、ラヴェル(当時は先生と連弾した)はその頃に勉強したものである。何かの折にこれらの作品を取り出し、演奏しているが、全く飽きることがない。懐古趣味なのだろうと思うが、一方で初心を思い出させてくれる重要なレパートリーでもある。これだけ書けばお分かりかと思うが、僕は故郷・盛岡が大好きだ。高校1年生時に上京、9年を東京で過ごし、ベルリン・モスクワと5年の留学を経て完全帰国、その後息つく暇の無い目まぐるしい毎日を過ごす内に、激しい郷愁に駆られていったのだろう。何と言ってもこれらの作品には当時の楽しかった思い出や、輝かしい日々が封印されているのだ!20代最後の夜、皆様には約20年物のレパートリーに、モスクワで勉強し、盛岡で初めて演奏したラフマニノフのソナタを加えたプログラムを聴いて頂く。過ぎ去った時間が戻ることはない。だからこそ、数十年後に現在の時間を思い出して「あの頃はよかった、楽しかった」と言えるように、今を精一杯過ごしたい。
……というのは、このノートを書こうとしてふと思ったことである。実はプログラムを決める際、上記のようなことは全く考えていなかった。自分の気持ちに正直に弾きたいものを選択しただけだったからこそ、いつのまにか郷愁に誘われていることに驚いた。故郷を想う気持ちはまるで晩年のラフマニノフのようであるが、結局祖国に帰ることができなかった彼とは反対に、いつでも故郷に戻ることが可能な僕はなんと幸せ者なのだろう。僕は常に時の流れに身を委ねているため、今日の演奏も今の自分に必要なものなのだと確信している。(佐藤彦大)
====================
まったく同じコンサートというものはありえません。生演奏はまさに一期一会です。
そして演奏家さんもまったく同じ演奏、まったく同じ心境、ということはありえません。
毎回プログラムノートは演奏家さんに書いていただくのですが、私たち聴衆はこのようなプログラムノートを待ち望んでいたのかもしれません。
演奏家さんがどんな想いで選んだプログラムなのか、そしてその曲たちにどんな想いをもっているのか、このことに興味関心のない聴衆はいないでしょう。
そして今回の佐藤さんのプログラムノートで印象的だったのが
故郷への想いーー。
“僕は故郷・盛岡が大好きだ”という故郷を想うたった一言のこの言葉に今回のプログラムへの意志が詰まっているように感じます。
佐藤さんが盛岡の豊かな自然の中で暮らしていた頃、本日のプログラムであるモーツァルト、シューベルト、ラヴェルは当時、勉強したものだそうで、初心を思い出させてくれる重要なレパートリーでもある、と書かれているとおり、佐藤さんは高校1年生から本格的に音楽を学ぶため上京し、その後すぐにベルリン・モスクワと5年の留学を経て完全帰国され、もっぱら現在の活動拠点は東京にされているといいます。
まさに故郷を想う気持ちを持ちながらも、常に音楽に対して純粋に、熱烈に、献身的な愛を持って生きてこられたということが伝わり、私たちの胸を熱くします。
そして今回のコンサートはそんな想いが溢れ、私たち聴衆にダイレクトにそれが伝わる、心が温まるアットーホームなコンサートとなりました。
前半のモーツァルトは、佐藤さん独自のピュアな音が上から下まで流麗に軽やかに駆け抜けます。
フレーズをふわっと歌いきってどこまでも聴いていたい感覚になりました。
シューベルトは4つの即興曲D899/op.90を全て演奏するという、ありそうでないプログラム!
結論的なことを言うならば、「佐藤彦大といえばシューベルトだ!」と確信したひとときでした。
間違いなく、自己の内奥から導かれたすばらしい音楽性に溢れたシューベルトであった、と。
そしてそれを裏付けるように、打ち上げの際、「 佐藤さんの一番得意な作曲家は?」と尋ねると、「シューベルトです!」と即答されていました。
思い入れもひとしおなのでしょう。佐藤さんの繊細なタッチで紡がれるシューベルトはやはり素晴らしく、ボリュームたっぷり!!
特に第3曲、第4曲は聴きごたえ抜群で、立て続けに聴いてしまうのがもったいないくらいの非常に贅沢な演奏でした。
例えて言えば、美しいダイヤモンドだけではなく、ルビー、サファイア、エメラルドのすべてを披露されてしまい、その全部に魅せられてしまったと言えましょうか…。
ですので、変な話、素晴らし過ぎて“もったいない!”という思いにもなってしまいました。このような気分になるコンサートも珍しいですが。(笑)
続いてのラヴェル=シャルロのマ・メール・ロワ。
佐藤さんのラヴェルは絶品!ただこの一言に尽きました!
前回のコンサート時にも感じたことなのですが、彼の音楽はまるで元からそこにあったものが、彼の存在によって自然の調和の中で音楽として紡ぎ出されてくる…そんな感覚におちいらされるのです。
そんな風に生まれる彼の演奏とラヴェルは非常に相性が良く、その繊細な曲の魅力が極限まで引き出される…そんな風に感じられました。
打ち上げ時には、なんと今回のマ・メール・ロワは今までで一番良い演奏ができたのではないか…とお話しされていました♪
最後は大曲、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番変ロ短調op.36(1931年版)。
ラヴェルから一転、情熱的でドラマティックなラフマニノフ。
ダイナミックながら耳に心地良く響き、その曲の魅力が遺憾無く発揮される演奏でした!
ここまでの大曲を終えたのち、止まぬ拍手に応じるようにアンコールをなんと4曲も披露してくださいました!!
シューベルト:楽興の時 第3番、ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調「鐘」、ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、モーツァルト:トルコ行進曲。
佐藤さんのサービス精神に脱帽です!!( 笑)
また、この日は誕生日前夜ということで、サプライズでケーキとお花のプレゼントも!
ケーキを片手に嬉しそうです♪
30歳となられた佐藤さん。今後の彼の演奏が更にどのように磨かれてゆくのか……
今後もますます目が離せないピアニストです。
「”綺麗な音”を出す演奏家は増えたといわれますが、”美しい音楽”」を奏でる演奏家は減少した」と良く耳にします。佐藤さんは”美しい音楽”を奏でる演奏家の希少な一人です。
今後のますます円熟した演奏に期待したいと思います。
さて、今回ご自身の集大成である非常に思い入れの深い舞台を、美竹清花さろんとしてお手伝いができたことを大変嬉しく思っております。
演奏家の皆様の心に常に寄り添い、かけがえのない場所として思い出の中に一生輝き続ける、そんなサロンにしていきたい…
そんな想いを再確認することのできた、心温まるコンサートでした♪
こけら落とし【第十六夜】佐藤彦大サロンコンサート(ピアノ)
12月8日は美竹清花さろんでは2度目の登場となる、佐藤彦大さんのピアノコンサートでした!
そして翌日、12月9日はなんと佐藤彦大さんの誕生日。
ということで、この日は佐藤さん“20代最後”誕生日前夜のサロンコンサートとなりました。
そんな特別な日ということもあり、「これまでの集大成となる演奏会に」と、佐藤さんの意気込みや想いも一層強いものでした。
そんな佐藤さんから演奏に寄せて、以下のようなプログラムノートをいただいきました。
多忙な佐藤さんは飛行機の機内で過去を振り返り、音楽とご自分の人生について、その想いを馳せながら文章を書かれたそうです。
====================
幼少時代、僕は野山を駆け回り、トンボや蝶を追い、山菜・きのこを採取していた。実家は盛岡市内にもかかわらず、ツキノワグマが出没するようなところで、都会の慌ただしさも無く、豊かな自然の中で暮らしていた頃が懐かしい。そのような環境の中でピアノを習っていたのだが、本日演奏されるモーツァルト、シューベルト、ラヴェル(当時は先生と連弾した)はその頃に勉強したものである。何かの折にこれらの作品を取り出し、演奏しているが、全く飽きることがない。懐古趣味なのだろうと思うが、一方で初心を思い出させてくれる重要なレパートリーでもある。これだけ書けばお分かりかと思うが、僕は故郷・盛岡が大好きだ。高校1年生時に上京、9年を東京で過ごし、ベルリン・モスクワと5年の留学を経て完全帰国、その後息つく暇の無い目まぐるしい毎日を過ごす内に、激しい郷愁に駆られていったのだろう。何と言ってもこれらの作品には当時の楽しかった思い出や、輝かしい日々が封印されているのだ!20代最後の夜、皆様には約20年物のレパートリーに、モスクワで勉強し、盛岡で初めて演奏したラフマニノフのソナタを加えたプログラムを聴いて頂く。過ぎ去った時間が戻ることはない。だからこそ、数十年後に現在の時間を思い出して「あの頃はよかった、楽しかった」と言えるように、今を精一杯過ごしたい。
……というのは、このノートを書こうとしてふと思ったことである。実はプログラムを決める際、上記のようなことは全く考えていなかった。自分の気持ちに正直に弾きたいものを選択しただけだったからこそ、いつのまにか郷愁に誘われていることに驚いた。故郷を想う気持ちはまるで晩年のラフマニノフのようであるが、結局祖国に帰ることができなかった彼とは反対に、いつでも故郷に戻ることが可能な僕はなんと幸せ者なのだろう。僕は常に時の流れに身を委ねているため、今日の演奏も今の自分に必要なものなのだと確信している。(佐藤彦大)
====================
まったく同じコンサートというものはありえません。生演奏はまさに一期一会です。
そして演奏家さんもまったく同じ演奏、まったく同じ心境、ということはありえません。
毎回プログラムノートは演奏家さんに書いていただくのですが、私たち聴衆はこのようなプログラムノートを待ち望んでいたのかもしれません。
演奏家さんがどんな想いで選んだプログラムなのか、そしてその曲たちにどんな想いをもっているのか、このことに興味関心のない聴衆はいないでしょう。
そして今回の佐藤さんのプログラムノートで印象的だったのが
故郷への想いーー。
“僕は故郷・盛岡が大好きだ”という故郷を想うたった一言のこの言葉に今回のプログラムへの意志が詰まっているように感じます。
佐藤さんが盛岡の豊かな自然の中で暮らしていた頃、本日のプログラムであるモーツァルト、シューベルト、ラヴェルは当時、勉強したものだそうで、初心を思い出させてくれる重要なレパートリーでもある、と書かれているとおり、佐藤さんは高校1年生から本格的に音楽を学ぶため上京し、その後すぐにベルリン・モスクワと5年の留学を経て完全帰国され、もっぱら現在の活動拠点は東京にされているといいます。
まさに故郷を想う気持ちを持ちながらも、常に音楽に対して純粋に、熱烈に、献身的な愛を持って生きてこられたということが伝わり、私たちの胸を熱くします。
そして今回のコンサートはそんな想いが溢れ、私たち聴衆にダイレクトにそれが伝わる、心が温まるアットーホームなコンサートとなりました。
前半のモーツァルトは、佐藤さん独自のピュアな音が上から下まで流麗に軽やかに駆け抜けます。
フレーズをふわっと歌いきってどこまでも聴いていたい感覚になりました。
シューベルトは4つの即興曲D899/op.90を全て演奏するという、ありそうでないプログラム!
結論的なことを言うならば、「佐藤彦大といえばシューベルトだ!」と確信したひとときでした。
間違いなく、自己の内奥から導かれたすばらしい音楽性に溢れたシューベルトであった、と。
そしてそれを裏付けるように、打ち上げの際、「
思い入れもひとしおなのでしょう。佐藤さんの繊細なタッチで紡がれるシューベルトはやはり素晴らしく、ボリュームたっぷり!!
特に第3曲、第4曲は聴きごたえ抜群で、立て続けに聴いてしまうのがもったいないくらいの非常に贅沢な演奏でした。
例えて言えば、美しいダイヤモンドだけではなく、ルビー、サファイア、エメラルドのすべてを披露されてしまい、その全部に魅せられてしまったと言えましょうか…。
ですので、変な話、素晴らし過ぎて“もったいない!”という思いにもなってしまいました。このような気分になるコンサートも珍しいですが。(笑)
続いてのラヴェル=シャルロのマ・メール・ロワ。
佐藤さんのラヴェルは絶品!ただこの一言に尽きました!
前回のコンサート時にも感じたことなのですが、彼の音楽はまるで元からそこにあったものが、彼の存在によって自然の調和の中で音楽として紡ぎ出されてくる…そんな感覚におちいらされるのです。
そんな風に生まれる彼の演奏とラヴェルは非常に相性が良く、その繊細な曲の魅力が極限まで引き出される…そんな風に感じられました。
打ち上げ時には、なんと今回のマ・メール・ロワは今までで一番良い演奏ができたのではないか…とお話しされていました♪
最後は大曲、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番変ロ短調op.36(1931年版)。
ラヴェルから一転、情熱的でドラマティックなラフマニノフ。
ダイナミックながら耳に心地良く響き、その曲の魅力が遺憾無く発揮される演奏でした!
ここまでの大曲を終えたのち、止まぬ拍手に応じるようにアンコールをなんと4曲も披露してくださいました!!
シューベルト:楽興の時 第3番、ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調「鐘」、ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、モーツァルト:トルコ行進曲。
佐藤さんのサービス精神に脱帽です!!(
また、この日は誕生日前夜ということで、サプライズでケーキとお花のプレゼントも!
ケーキを片手に嬉しそうです♪
30歳となられた佐藤さん。今後の彼の演奏が更にどのように磨かれてゆくのか……
今後もますます目が離せないピアニストです。
「”綺麗な音”を出す演奏家は増えたといわれますが、”美しい音楽”」を奏でる演奏家は減少した」と良く耳にします。佐藤さんは”美しい音楽”を奏でる演奏家の希少な一人です。
今後のますます円熟した演奏に期待したいと思います。
さて、今回ご自身の集大成である非常に思い入れの深い舞台を、美竹清花さろんとしてお手伝いができたことを大変嬉しく思っております。
演奏家の皆様の心に常に寄り添い、かけがえのない場所として思い出の中に一生輝き続ける、そんなサロンにしていきたい…
そんな想いを再確認することのできた、心温まるコンサートでした♪
2017/11/24
【第十五夜】鈴木舞&實川風サロンコンサート(ヴァイオリン&ピアノ)
ご報告が遅くなってしまいましたが、11月24日(金)に鈴木舞さん&實川風さんによるサロンコンサートを開催いたしました!
当サロンでは鈴木さんと實川さんに事前にインタビューさせていただいた際に実際にお会いしてみて、音楽よりも前に、お二人のパーソナリティ、そのお人柄に感動してしまいました。
鈴木舞さんに関する第一印象は、“音楽によって真理・真実を伝える求道者、伝道者”というものでした。
鈴木さんは、インタビューでも応えられているように、「音楽によって奇跡を起こせる魔法使いになりたい」と言われています。
音楽の”魔法”という言葉に、私たちもハッとし、深く共感したことを覚えています。
まさしくそれを裏付けるように、舞さんの音楽と向かい合うひたむきで真摯な姿勢にはとても熱いものがあり、何というか、崇高なる荘厳さというか、神々しさというか…
そういったものが感じられます。
一方の實川さんですが、舞さんはごらんのとおり大変な美女ですが、實川さんの方も大変なイケメンで美男子です。このお二方は絵に描いたような美男美女です。
そうしたイメージから、わたしたちはついつい、気取っている、もしかして冷たいかも…と、勝手なイメージを抱いてしまいます。
ところがどっこい、このお二人の人間性は最高!!
實川さんも、シャープ、スマート、かっこいい、もしかして冷たい…気取っているかも?
・・・というイメージとは真逆で
実に素朴、ありのまま、気取らない、やさしい、誠実そのものの好青年でした。
そして、インタビューで實川さんの語る“作曲家と演奏家と聴衆の三角形、三位一体”という言葉にもとても共感しました。
ずば抜けた才能をお持ちの音楽家さんには、ずば抜けた人間性をそなえていることが多いということをまた裏付けてくれる体験となりました。
そして、この度のコンサートではそんな素晴らしい人間性をお持ちのお二人だからこそ実現したコンサート。
音楽が詰まった2時間はあっと言う間で、まるで魔法にかかったようでした。
終演後「今日のコンサートはライブDVDにしないのですか?」という声をいただくほどの、心に残るものとなりました。
打ち上げでは音楽の話しで盛り上がったのですが、その中でまたとても印象に残るお話しがありました。
リハーサルとお客様のいる演奏会本番では違う、というのはわかるのですが、具体的になにが違うのか?という話で鈴木さんが印象的なことを話されていました。
「私たちでいう”言葉”は音楽であり、その”音楽の言葉”を伝える相手がいるのといないのとでは全然違うのです。」
鈴木さんは以前、
「生演奏は愛の告白、そしてCDはラブレターのようなもの」
と話されていたのを思い出しましたが、そんな音楽に対する哲学(というと固いですが)、信念、情熱、愛情、のようなものを感じます。
コンサートの中身についてはあえて書きません。
ただ、言葉にできないほど
ただ、ひたすらに まっすぐに音楽が伝わる素晴らしいものでした。
来年2018年は鈴木さんのアンサンブル、實川さんのソロコンサートなどなど…
お二人の企画を続々と計画中でございます!
お越しいただくことが決まっているお客様は、事前にお得なメンバーズクラブにお申し込みいただきますと
今なら期間限定で招待券2枚プレゼントキャンペーン中ですので、ご利用ください♪
たくさんのお客さまにお越しいただきましたことを、感謝いたします。
誠にありがとうございました!
わたしたちとっても、心に残る演奏会となりました。
【第十五夜】鈴木舞&實川風サロンコンサート(ヴァイオリン&ピアノ)
ご報告が遅くなってしまいましたが、11月24日(金)に鈴木舞さん&實川風さんによるサロンコンサートを開催いたしました!
当サロンでは鈴木さんと實川さんに事前にインタビューさせていただいた際に実際にお会いしてみて、音楽よりも前に、お二人のパーソナリティ、そのお人柄に感動してしまいました。
鈴木舞さんに関する第一印象は、“音楽によって真理・真実を伝える求道者、伝道者”というものでした。
鈴木さんは、インタビューでも応えられているように、「音楽によって奇跡を起こせる魔法使いになりたい」と言われています。
音楽の”魔法”という言葉に、私たちもハッとし、深く共感したことを覚えています。
まさしくそれを裏付けるように、舞さんの音楽と向かい合うひたむきで真摯な姿勢にはとても熱いものがあり、何というか、崇高なる荘厳さというか、神々しさというか…
そういったものが感じられます。
一方の實川さんですが、舞さんはごらんのとおり大変な美女ですが、實川さんの方も大変なイケメンで美男子です。このお二方は絵に描いたような美男美女です。
そうしたイメージから、わたしたちはついつい、気取っている、もしかして冷たいかも…と、勝手なイメージを抱いてしまいます。
ところがどっこい、このお二人の人間性は最高!!
實川さんも、シャープ、スマート、かっこいい、もしかして冷たい…気取っているかも?
・・・というイメージとは真逆で
実に素朴、ありのまま、気取らない、やさしい、誠実そのものの好青年でした。
そして、インタビューで實川さんの語る“作曲家と演奏家と聴衆の三角形、三位一体”という言葉にもとても共感しました。
ずば抜けた才能をお持ちの音楽家さんには、ずば抜けた人間性をそなえていることが多いということをまた裏付けてくれる体験となりました。
そして、この度のコンサートではそんな素晴らしい人間性をお持ちのお二人だからこそ実現したコンサート。
音楽が詰まった2時間はあっと言う間で、まるで魔法にかかったようでした。
終演後「今日のコンサートはライブDVDにしないのですか?」という声をいただくほどの、心に残るものとなりました。
打ち上げでは音楽の話しで盛り上がったのですが、その中でまたとても印象に残るお話しがありました。
リハーサルとお客様のいる演奏会本番では違う、というのはわかるのですが、具体的になにが違うのか?という話で鈴木さんが印象的なことを話されていました。
「私たちでいう”言葉”は音楽であり、その”音楽の言葉”を伝える相手がいるのといないのとでは全然違うのです。」
鈴木さんは以前、
「生演奏は愛の告白、そしてCDはラブレターのようなもの」
と話されていたのを思い出しましたが、そんな音楽に対する哲学(というと固いですが)、信念、情熱、愛情、のようなものを感じます。
コンサートの中身についてはあえて書きません。
ただ、言葉にできないほど
ただ、ひたすらに まっすぐに音楽が伝わる素晴らしいものでした。
来年2018年は鈴木さんのアンサンブル、實川さんのソロコンサートなどなど…
お二人の企画を続々と計画中でございます!
お越しいただくことが決まっているお客様は、事前にお得なメンバーズクラブにお申し込みいただきますと
今なら期間限定で招待券2枚プレゼントキャンペーン中ですので、ご利用ください♪
たくさんのお客さまにお越しいただきましたことを、感謝いたします。
誠にありがとうございました!
わたしたちとっても、心に残る演奏会となりました。
2017/11/18
こけら落とし【第十四夜】樋口一朗&守永由香サロンコンサート(ピアノ)
昨年の第85回日本音楽コンクールでご活躍した樋口一朗さんと守永由香さんによるピアノ・ジョイントコンサートを開催!
企画のねらい通り、
ピアニストによって変化する音色の違いを楽しめるコンサートとなりました。
美竹清花さろんでは演奏家さんの意志を尊重した企画やプログラムを基本としております。
なので、今回のジョイントコンサートも樋口さんと守永さんプレゼンツ企画の開催となりました!
そんなお二人より、挨拶文もいただいております。
====================
*ご挨拶*
本日はお忙しい中お越しくださいましてありがとうございます。
私達は桐朋学園大学の同級生で同じ先生のもと勉強しており、この度は美竹清花さろんさんにて2人でコンサートが開催できること、とても幸せです。
本日のプログラムは古典派から近現代までの様々な作品を通して私達それぞれの個性をお楽しみ頂ければと思っております。心を込めて演奏致します。
樋口一朗 守永由香
====================
誠実に、そして丁寧に今回のコンサートに取り組んでくださったご様子がわかりますね!
非常に技巧的な曲、難曲ばかりのプログラムでしたが
さすがお二人、
エネルギッシュに、そして巧みな演奏技術などが精緻に描かれていくようでした。
■プログラム
モーツァルト :アレグレットによる12の変奏曲 変ロ長調 K.500(樋口)
ハイドン:ソナタ 第31番 変イ長調 Hob.ⅩⅥ-46(守永)
ショパン:即興曲 第3番 変ト長調 作品51(樋口)
ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 「幻想」(守永)
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 ニ短調
作品42(樋口)
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」S.160 R.10 より第9曲「ジュネーヴの鐘」(守永)
リスト:超絶技巧練習曲 S.139 R.2b より 第7番 「英雄」(守永)
グノー=リスト:歌劇「ファウスト」のワルツ S.407 R.166(樋口)
樋口さんも守永さんも、同級生で同じ先生のもと勉強していらっしゃるようですが、それぞれの個性が引き立っていました。
守永さんの演奏で印象的だったのはショパンのポロネーズ 第7番 変イ長調 「幻想」
幻想的な響きのなかに、寄せては返す波のようなロマンティックな感情表現が見事に表現されておりました。
守永さんはたっぷりと歌い上げるピアノの音が魅力的です。
樋口さんは音が非常に美しく…
気品、音の美しさ、どこをとっても模範のような、透明感溢れる端整な演奏が光りました。
ラフマニノフでは迫力満点!
一気にエネルギーを集中させ、解き放たれるように音が鳴り響きました。
アンコールは連弾で
フォーレ:組曲「ドリー」より第4番 キティ・ワルツ
最後のお二人で共演が会場をホッコリさせましたね!
「ホッコリ」と言えば…
今回新たな取り組みとして
休憩中にコーヒーとお茶菓子をお出ししました♪
寒くなってきましたので、コンサートの合間にホッと一息ついていただきたいという思いから、急遽準備。
いつもよりちょっと贅沢なコンサートの時間となったようです。
反響によってはこちらのサービスですが、続けさせていただきたいと思います。
がっつりのソロのコンサートも良いですが、
ジョイントコンサートや連弾、アンサンブルではソロでは味わえない演奏家同士の掛け合いの面白さや親しみやすさなどが魅力です。
樋口さん、守永さんはまだまだお若く、これからが楽しみな演奏家さんたちです!
本当に日本には素晴らしい若手演奏家さんがたくさんいらっしゃることに毎回驚かされるばかりです。
当サロンでは今後とも、才能溢れる若手演奏家を中心にした”本物の音楽”をお届けできる場として、
また、彼ら、彼女らとコミュニケーションできる場として、
日々の疲れを癒し、安らぎを得ることができる場として、
皆様のご期待に沿っていくことができるよう、誠心誠意取り組んでまいります。
こけら落とし【第十四夜】樋口一朗&守永由香サロンコンサート(ピアノ)
昨年の第85回日本音楽コンクールでご活躍した樋口一朗さんと守永由香さんによるピアノ・ジョイントコンサートを開催!
企画のねらい通り、
ピアニストによって変化する音色の違いを楽しめるコンサートとなりました。
美竹清花さろんでは演奏家さんの意志を尊重した企画やプログラムを基本としております。
なので、今回のジョイントコンサートも樋口さんと守永さんプレゼンツ企画の開催となりました!
そんなお二人より、挨拶文もいただいております。
====================
*ご挨拶*
本日はお忙しい中お越しくださいましてありがとうございます。
私達は桐朋学園大学の同級生で同じ先生のもと勉強しており、この度は美竹清花さろんさんにて2人でコンサートが開催できること、とても幸せです。
本日のプログラムは古典派から近現代までの様々な作品を通して私達それぞれの個性をお楽しみ頂ければと思っております。心を込めて演奏致します。
樋口一朗 守永由香
====================
誠実に、そして丁寧に今回のコンサートに取り組んでくださったご様子がわかりますね!
非常に技巧的な曲、難曲ばかりのプログラムでしたが
さすがお二人、
エネルギッシュに、そして巧みな演奏技術などが精緻に描かれていくようでした。
■プログラム
モーツァルト :アレグレットによる12の変奏曲 変ロ長調 K.500(樋口)
ハイドン:ソナタ 第31番 変イ長調 Hob.ⅩⅥ-46(守永)
ショパン:即興曲 第3番 変ト長調 作品51(樋口)
ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 「幻想」(守永)
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 ニ短調
作品42(樋口)
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」S.160 R.10 より第9曲「ジュネーヴの鐘」(守永)
リスト:超絶技巧練習曲 S.139 R.2b より 第7番 「英雄」(守永)
グノー=リスト:歌劇「ファウスト」のワルツ S.407 R.166(樋口)
樋口さんも守永さんも、同級生で同じ先生のもと勉強していらっしゃるようですが、それぞれの個性が引き立っていました。
守永さんの演奏で印象的だったのはショパンのポロネーズ 第7番 変イ長調 「幻想」
幻想的な響きのなかに、寄せては返す波のようなロマンティックな感情表現が見事に表現されておりました。
守永さんはたっぷりと歌い上げるピアノの音が魅力的です。
樋口さんは音が非常に美しく…
気品、音の美しさ、どこをとっても模範のような、透明感溢れる端整な演奏が光りました。
ラフマニノフでは迫力満点!
一気にエネルギーを集中させ、解き放たれるように音が鳴り響きました。
アンコールは連弾で
フォーレ:組曲「ドリー」より第4番 キティ・ワルツ
最後のお二人で共演が会場をホッコリさせましたね!
「ホッコリ」と言えば…
今回新たな取り組みとして
休憩中にコーヒーとお茶菓子をお出ししました♪
寒くなってきましたので、コンサートの合間にホッと一息ついていただきたいという思いから、急遽準備。
いつもよりちょっと贅沢なコンサートの時間となったようです。
反響によってはこちらのサービスですが、続けさせていただきたいと思います。
がっつりのソロのコンサートも良いですが、
ジョイントコンサートや連弾、アンサンブルではソロでは味わえない演奏家同士の掛け合いの面白さや親しみやすさなどが魅力です。
樋口さん、守永さんはまだまだお若く、これからが楽しみな演奏家さんたちです!
本当に日本には素晴らしい若手演奏家さんがたくさんいらっしゃることに毎回驚かされるばかりです。
当サロンでは今後とも、才能溢れる若手演奏家を中心にした”本物の音楽”をお届けできる場として、
また、彼ら、彼女らとコミュニケーションできる場として、
日々の疲れを癒し、安らぎを得ることができる場として、
皆様のご期待に沿っていくことができるよう、誠心誠意取り組んでまいります。
2017/11/2
こけら落とし【第十三夜】鐵百合奈サロンコンサート(ピアノ)
11月2日に鐵百合奈さんのリサイタルがありました!
鐵百合奈さんといえば、先月21日の日本音楽コンクールで、第2位、聴衆賞、そして三宅賞も受賞された方です。
タイムリーに話題の若手ピアニストさんです♪
コンクール当日のサンサーンスのピアノ協奏曲は本当にすばらしい演奏でした。
聴衆の反応もとても大きなもので、たくさんのブラボーでした。
それからわずかな日数しかないにもかかわらず、当サロンでのコンサートでは挑戦的なプログラムの数々…!
バッハ、ベートーヴェン、ラヴェル、ヤナーチェク、ブラームスという難曲揃い…つくづくと、鐵さんはチャレンジャーです。
■バッハ / 平均律クラヴィーア曲集第1巻第12番 ヘ短調 BWV 857
颯爽とした早めのテンポ、わたしの知る限り最速レベル、鐵さんのバッハの魅力は決して単純なものではないことを思い知らされました。
■ベートーヴェン / ピアノソナタ第27番 ホ短調 Op.90
鐵さんの魅力を初めて知ったのはベートーヴェンでしたので、ああ、鐵百合奈さんだと、なぜか懐かしさが!(笑)
■ラヴェル /『夜のガスパール』より「オンディーヌ」
夜のガスパール オンディーヌ 最近、この曲を何人もの演奏で聴いてきましたが、鐵さんのラヴェル、それもオンディーヌは初めて。とても真面目な鐵百合奈風ラヴェルでしたが、鐵さんの技巧的な巧さが光っていました。鐵さんは決して技巧を前面に出すような弾き方はされませんが、このような難曲中の難曲では、やはり技巧面の巧さも光ってしまいます!
■ヤナーチェク /『草かげの小径にて』第1集より「フリーデクの聖母マリア」
■ヤナーチェク / ピアノソナタ 変ホ短調『1905年10月1日 街頭にて』
□第1楽章︰予感 (Předtucha)
□第2楽章︰死 (Smrt)
最近流行始めたのか、先般の渡邊智道(ミッチー)さんも採り上げていた曲です。やさしさと奥深さのミッチー、温かさと親しみの鐵さんといえましょうか(笑)
鐵さんがおっしゃってましたが、バッハとヤナーチェクは相性が良いそうなのです。
■ブラームス / ピアノソナタ第2番 嬰ヘ短調 Op.2
これはぜひ皆様にも聴いて欲しかった!
圧巻のブラームスでした。
ブラームスの内面を深く掘り下げながら、時に感傷的に、しかし、決して流されることなく絶妙なニュアンスでもって見事に表現していました。
そして、アンコールには、
リストの超絶技巧練習曲「鬼火」!!
個人的には、これがもっとも面白かったです。このような難曲では技巧の巧さが前面に出がちですが、鐵さんの演奏では、美しさやロマンティックな箇所が随所に輝いていました!
この曲でそうした印象をもったのは初めてのことです。
今回の鐵百合奈さんのコンサートの全般的な感想の総括としては、一言。
「ダイヤモンドの演奏だ!」と感じました。
ダイヤモンドは、磨いていても、磨いていなくてもダイヤモンドです。磨けば磨くほど輝く、という一面もあります。ガラス玉では、どんなに磨いたところで、そうはいきません。
ダイヤモンド、すなわち「ディアー・マインド、ダイ・マインド、聖なる心を超えた心、自我の超越…本物、真実…」そういうイメージを抱かせてくださる演奏と感じました。
会場にいらっしゃっていた方で、何人かの方は、もう来年の鐵百合奈さんの演奏会の予約をしていきたいと言われました。まったく、頷けることです。
次回の鐵百合奈さんの演奏会は来年2018年の2月25日。アンサンブルで登場です♪
(すでにご予約のお問い合わせが多数!)
ダイヤモンドとの出会いに気づいたひとときに、
わたしたちも未来が照らされる思いとなるコンサートとなりました。
今後のコンサート情報はこちら!
こけら落とし【第十三夜】鐵百合奈サロンコンサート(ピアノ)
11月2日に鐵百合奈さんのリサイタルがありました!
鐵百合奈さんといえば、先月21日の日本音楽コンクールで、第2位、聴衆賞、そして三宅賞も受賞された方です。
タイムリーに話題の若手ピアニストさんです♪
コンクール当日のサンサーンスのピアノ協奏曲は本当にすばらしい演奏でした。
聴衆の反応もとても大きなもので、たくさんのブラボーでした。
それからわずかな日数しかないにもかかわらず、当サロンでのコンサートでは挑戦的なプログラムの数々…!
バッハ、ベートーヴェン、ラヴェル、ヤナーチェク、ブラームスという難曲揃い…つくづくと、鐵さんはチャレンジャーです。
■バッハ / 平均律クラヴィーア曲集第1巻第12番 ヘ短調 BWV 857
颯爽とした早めのテンポ、わたしの知る限り最速レベル、鐵さんのバッハの魅力は決して単純なものではないことを思い知らされました。
■ベートーヴェン / ピアノソナタ第27番 ホ短調 Op.90
鐵さんの魅力を初めて知ったのはベートーヴェンでしたので、ああ、鐵百合奈さんだと、なぜか懐かしさが!(笑)
■ラヴェル /『夜のガスパール』より「オンディーヌ」
夜のガスパール オンディーヌ 最近、この曲を何人もの演奏で聴いてきましたが、鐵さんのラヴェル、それもオンディーヌは初めて。とても真面目な鐵百合奈風ラヴェルでしたが、鐵さんの技巧的な巧さが光っていました。鐵さんは決して技巧を前面に出すような弾き方はされませんが、このような難曲中の難曲では、やはり技巧面の巧さも光ってしまいます!
■ヤナーチェク /『草かげの小径にて』第1集より「フリーデクの聖母マリア」
■ヤナーチェク / ピアノソナタ 変ホ短調『1905年10月1日 街頭にて』
□第1楽章︰予感 (Předtucha)
□第2楽章︰死 (Smrt)
最近流行始めたのか、先般の渡邊智道(ミッチー)さんも採り上げていた曲です。やさしさと奥深さのミッチー、温かさと親しみの鐵さんといえましょうか(笑)
鐵さんがおっしゃってましたが、バッハとヤナーチェクは相性が良いそうなのです。
■ブラームス / ピアノソナタ第2番 嬰ヘ短調 Op.2
これはぜひ皆様にも聴いて欲しかった!
圧巻のブラームスでした。
ブラームスの内面を深く掘り下げながら、時に感傷的に、しかし、決して流されることなく絶妙なニュアンスでもって見事に表現していました。
そして、アンコールには、
リストの超絶技巧練習曲「鬼火」!!
個人的には、これがもっとも面白かったです。このような難曲では技巧の巧さが前面に出がちですが、鐵さんの演奏では、美しさやロマンティックな箇所が随所に輝いていました!
この曲でそうした印象をもったのは初めてのことです。
今回の鐵百合奈さんのコンサートの全般的な感想の総括としては、一言。
「ダイヤモンドの演奏だ!」と感じました。
ダイヤモンドは、磨いていても、磨いていなくてもダイヤモンドです。磨けば磨くほど輝く、という一面もあります。ガラス玉では、どんなに磨いたところで、そうはいきません。
ダイヤモンド、すなわち「ディアー・マインド、ダイ・マインド、聖なる心を超えた心、自我の超越…本物、真実…」そういうイメージを抱かせてくださる演奏と感じました。
会場にいらっしゃっていた方で、何人かの方は、もう来年の鐵百合奈さんの演奏会の予約をしていきたいと言われました。まったく、頷けることです。
次回の鐵百合奈さんの演奏会は来年2018年の2月25日。アンサンブルで登場です♪
(すでにご予約のお問い合わせが多数!)
ダイヤモンドとの出会いに気づいたひとときに、
わたしたちも未来が照らされる思いとなるコンサートとなりました。
今後のコンサート情報はこちら!
2017/10/25
こけら落とし【第十二夜】黒岩航紀サロンコンサート(ピアノ&ヴァイオリン)ゲスト出演・岸本萌々加
10月25日のコンサートは2度目の登場となるピアニスト黒岩航紀さん。
そしてゲスト出演にヴァイオリニスト岸本萌々加さんでした。
(岸本さんはつい先日に行われた第86回日本音楽コンクールのヴァイオリン部門で3位入賞されたばかりでございました!)
さて今回は、黒岩さんのピアノソロでは普段の黒岩さんの選曲とはガラリと印象の異なるプログラムに、開演前から楽しみでした。
<プログラム>
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第1番 ハ長調 BWV846
シューベルト:即興曲集より 第4番 へ短調 D935/Op.142
ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」
スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.87/L.33
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調
ハ長調のどこか落ち着く清潔感溢れるバッハの音楽からはじまり、シューベルトの即興曲第4番の前に黒岩さんが曲に対する思いやイメージを解説をしてくださいました。
“この曲はシューベルトの曲のなかではシューベルトっぽくなく、おもしろい要素が入っている。
当時は今でいうロックのようなイメージで作曲された曲だった。”
と、なるほど…!
シューベルトの即興曲は4曲ありますが、それぞれ個性を持った作品ですが
とりわけ今回演奏された第4番はおどけてからかうような遊びのある曲調が印象的なのですが、その謎がとけたようでした。
黒岩さんのコンサートはこういったトークや解説がわかりやすく、より音楽を深く楽しむことができることも魅力の一つといえます!
ベートーヴェンのテンペストでは、決して情緒過多な演奏には陥らず絶妙なバランス感覚を持った演奏に、もっと彼のベートヴェンを聴いてみたいという気持ちになりました。
後半はスカルラッティのソナタのからフランクのソナタに入るところがこれまた印象的…
まるで何かを思い出すかのように、美しく詩的な旋律に導かれ、
ヴァイオリンとピアノの掛け合いにどんどん魅き込まれて行きます。
岸本さんのヴァイオリンと黒岩さんのピアノでの音楽の語らいに、まるで協奏曲を聴いたあとのような満足感がありました。
「そうか、生演奏は”音楽は語らい”が楽しみのポイントなのか」
そんな発見があったコンサートとなりました。
美竹さろんでは、さまざまな語らい(=コミュニケーション)をこれからも大切にしていきたいと思います。
今後のコンサート情報はこちら!
こけら落とし【第十二夜】黒岩航紀サロンコンサート(ピアノ&ヴァイオリン)ゲスト出演・岸本萌々加
10月25日のコンサートは2度目の登場となるピアニスト黒岩航紀さん。
そしてゲスト出演にヴァイオリニスト岸本萌々加さんでした。
(岸本さんはつい先日に行われた第86回日本音楽コンクールのヴァイオリン部門で3位入賞されたばかりでございました!)
さて今回は、黒岩さんのピアノソロでは普段の黒岩さんの選曲とはガラリと印象の異なるプログラムに、開演前から楽しみでした。
<プログラム>
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第1番 ハ長調 BWV846
シューベルト:即興曲集より 第4番 へ短調 D935/Op.142
ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」
スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.87/L.33
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調
ハ長調のどこか落ち着く清潔感溢れるバッハの音楽からはじまり、シューベルトの即興曲第4番の前に黒岩さんが曲に対する思いやイメージを解説をしてくださいました。
“この曲はシューベルトの曲のなかではシューベルトっぽくなく、おもしろい要素が入っている。
当時は今でいうロックのようなイメージで作曲された曲だった。”
と、なるほど…!
シューベルトの即興曲は4曲ありますが、それぞれ個性を持った作品ですが
とりわけ今回演奏された第4番はおどけてからかうような遊びのある曲調が印象的なのですが、その謎がとけたようでした。
黒岩さんのコンサートはこういったトークや解説がわかりやすく、より音楽を深く楽しむことができることも魅力の一つといえます!
ベートーヴェンのテンペストでは、決して情緒過多な演奏には陥らず絶妙なバランス感覚を持った演奏に、もっと彼のベートヴェンを聴いてみたいという気持ちになりました。
後半はスカルラッティのソナタのからフランクのソナタに入るところがこれまた印象的…
まるで何かを思い出すかのように、美しく詩的な旋律に導かれ、
ヴァイオリンとピアノの掛け合いにどんどん魅き込まれて行きます。
岸本さんのヴァイオリンと黒岩さんのピアノでの音楽の語らいに、まるで協奏曲を聴いたあとのような満足感がありました。
「そうか、生演奏は”音楽は語らい”が楽しみのポイントなのか」
そんな発見があったコンサートとなりました。
美竹さろんでは、さまざまな語らい(=コミュニケーション)をこれからも大切にしていきたいと思います。
今後のコンサート情報はこちら!